藤原歌劇団「トスカ」はカヴァラドッシとオケが良かった
鑑賞日:2023年1月28日(土)14:00開演入場料:2,500円(E席/4階 R3列)【主催】(財)日本オペラ振興会、(社)日本演奏連盟2023都民芸術フェスティバル参加公演藤原歌劇団公演歌劇「トスカ」プッチーニ作曲全3幕(イタリア語上演/日本語字幕付)会場:東京文化会館大ホールスタッフ指 揮 :鈴木恵里奈演 出 :松本重孝総監督 :折江忠道美 術 :大沢佐智子衣 裳 :前岡直子照 明 :成瀬一裕舞台監督:菅原多敢弘演出助手:手塚優子 合唱指揮:安部克彦 合 唱 :藤原歌劇団合唱部児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ管弦楽 :東京フィルハーモニー交響楽団出演トスカ :小林厚子カヴァラドッシ :澤﨑一了スカルピア :折江忠道アンジェロッティ:伊藤貴之堂 守 :押川浩士スポレッタ :松浦 健シャルローネ :龍 進一郎看 守 :坂本伸司牧 童 :網永悠里感想 新春恒例の都民芸術フェスティバルとして藤原歌劇団の「トスカ」の公演が開催されるとのことで上野まで出掛けた。 客席は1階席両サイドに少し空席が見られるが、ほぼ満席状態で、昨年の「トロヴァトーレ」の6~7割程度と比較すると、ようやく日常が戻った印象。但し、ロビーでのドリンクサービスは中止のまま。 今回新演出となっているが、基本的に原作通りで、何処かの公演で観たようなオーソドックスな舞台装置と衣装で違和感なし。 第1幕の教会は、舞台上斜めに設定され、遠近感で奥行きを感じさせる。客席側に祭壇がある設定で、第1幕フィナーレの「テ・デウム」の合唱が直接客席に向かうことになり、迫力を出せる演出。第3幕のサンタンジェロ城の屋上は舞台奥に城壁があり、左右から階段が設けられているが、天使像は無し。 演技もオーソドックスだったが、合唱、児童合唱、助演は全員マスク姿だったのは違和感あり。第1幕の「テ・デウム」も残念ながら迫力十分とは言えない演奏になってしまった。 歌手の方は、カヴァラドッシ役の澤﨑一了が期待通りの歌声。中低域から明る目の歌声で、高音域もそのままリリコの歌声で素晴らしい。第1幕「妙なる調和」は最高音部分で若干声が固くなったが、第3幕「星は光りぬ」は素晴らしかった。 タイトルロールの小林厚子は第2幕「歌に生き、愛に生き」は良かったものの、それ以外は中低音域は暗めの発声で、高音は少々金切り声気味になり、残念だった。 スカルピア役の折江忠道は、歌声が一本調子的で凄みや悪人的な所を感じることが出来なかった。 有名なオペラ作品のため、世界中で公演され、名演の記録も多く、比較される歌手の方は大変ではあるが。 オケは全体的に安全運転的だったが、第3幕の冒頭のP部分等しっかり抑え、第1、3幕のフィナーレのFが際立って、歌手との関係含めバランスの取れた演奏だった。 指揮者の功績でしょう。 藤原歌劇団の2023-2024シーズンは、ドニゼッティ作曲「劇場のわがままな歌手たち」、ヴェルディ作曲「二人のフォスカリ」、グノー作曲「ファウスト」等、珍しい演目が予定されており、楽しみに。End