東京二期会「トゥーランドット」は光の演出が面白い
鑑賞日:2023年2月26日(日)14:00開演入場料:2,000円(E席/5階 L1列)【主催】(財)東京二期会、(社)日本演奏連盟2023都民芸術フェスティバル 参加公演《二期会創立70周年記念公演》ジュネーヴ大劇場との共同制作東京二期会オペラ劇場歌劇「トゥーランドット」プッチーニ作曲(ルチアーノ・ベリオによる第3幕補作版)全3幕(イタリア語上演/日本語字幕付)会場:東京文化会館大ホールスタッフ指 揮 :ディエゴ・マテウス演 出 :ダニエル・クレーマーセノグラフィー、デジタル&ライトアート:チームラボステージデザイン:チームラボアーキテクツ衣 裳 :中野希美江照 明 :シモン・トロッテ振 付 :ティム・クレイドン演出補 :デレク・ウォーカー合唱指揮:佐藤 宏演出助手:島田彌六舞台監督:幸泉浩司公演監督:大島幾雄公演監督補:佐々木典子合 唱 :二期会合唱団児童合唱:NHK東京児童合唱団管弦楽 :新日本フィルハーモニー交響楽団出演トゥーランドット姫:土屋優子皇帝アルトゥム :川上洋司ティムール :河野鉄平王子カラフ :城 宏憲リュー :谷原めぐみ大臣ピン :大川 博大臣パン :大川信之大臣ポン :市川浩平役 人 :井上雅人感想 新春恒例の都民芸術フェスティバルは藤原「トスカ」に続いて、東京二期会「トゥーランドット」の公演があるとのことで上野まで出掛けた。 客席はS,A席に若干空きが見られものの、3階以上は、ほぼ満席状態。またホール空間は全体が少々煙っている状況。 今回の特徴はチーム・ラボのレーザー光他の光の演出とベリオによる第3幕補作版であること。 舞台幕が開くと、舞台上半分に白い半透明の横長の箱があり、女性が白い衣装を来て入っており、その中で合唱が歌われる。男性は箱の下、反対に暗転の中黒い衣装で歌う。 また中央の大きな三角形の装置が回転し、場面に合わせて、鮮やかな彩りに変化する。 更に舞台上下左右から空間や、客席に向かってレーザー光が照射され、空中やホール壁面、天井に図形を描く。これまでのオペラ公演では見たことがない、新しい演出。 チーム・ラボの特設Webサイトにジュネーブ劇場での映像がある。 きっとオペラのストーリーに合っていない、邪魔だとの批判は出るだろうが、これまでに無いエンターテイメント・ショーとして楽しめた。 個々の演出は、最初ティムールとカラフが喧嘩をしていたり、リューが白い箱に入って離れていたり、最後はティムールまで自害し、大臣が殺し合ったりと、?な所が結構有り。 通常のアルファーノ補作版では第3幕が短いために、第1幕で休憩が入り、第2幕と第3幕を連続して演奏されることがあるが、今回のベリオ版は1,2幕を連続で演奏した後に休憩が入り、3幕が単独に上演となった。 ベリオ補作版は初めて聴いたが、謎解の後、それまでの旋律を持って来てリューの死とトゥーランドットの心変わりの場面を長くしてPで終わるが、結局心変わりの所は解りづらく蛇足に感じた。一般的なアルファーノ版の大合唱のフィナーレで華々しく終わってほしかった。 歌手は、タイトルロールの土屋優子が、最後まで高音域を保ち歌えていた。王子カラフ役の城宏憲も一部オケに消される所があったが、「誰も寝てはならぬ」他、決める部分はしっかり聞こえてきた。リュー役の谷原めぐみ、ティムール役の河野鉄平も役に合った歌声だった。 何と言っても「トゥーランドット」は合唱のウエイトが大きく、二期会合唱団は、裏歌含めよく歌えており、オペラ全体を盛り上げていた。 やはりマスク無しでないと。 オケは可もなく不可もなし。但し、第1部の静かな場面で、大きな音が。オケピットで何か落とした? ワーグナーの指輪などで今回の光の演出が入ったら面白そうで、今後も、新しい演出・舞台技術を取り入れたオペラも観てみたい。End