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テーマ:ゲームや漫画の二次創作(39)
カテゴリ:【小説】ただ龍を天に仰ぐ
============================================================= このストーリーは、『東京魔人学園 剣風帖』と 『東京魔人学園 外法帖』を元にした二次創作です。 『剣風帖』の時代に生活するオリキャラを主人公(名前変換なし)とし、 主人公が『外法帖』の時代へとトリップするオリジナルストーリーです。 作者自身、ゲームを最後にしてから数年が経っており、 かなり本編とずれが生じているかもしれませんが、 一応、ゲーム沿いに話が進む予定です。 それでもよろしければ、お読みいただければ幸いです。 ※お読みになった後の苦情は一切受け付けません。 ※キャラのイメージを壊したくない方は読まないことをオススメします。 =============================================================== 分かっていた答えではあったけれど、やはり、ショックは大きかった。 残酷までに綺麗な彼は、残酷までに冷静に、沙希の告白を退けた。 「君に、そういった感情は持っていない。」 まるで、彼の名前ような、季節はずれの赤い木の葉が、ひらひらと、舞っていた。 【ただ龍(りゅう)を天(あめ)に仰ぐ】 ~1~ 彼と別れた後、ふらふらと、沙希はなぜか自分が通っていた高校、真神学園へと来ていた。 沙希たちの卒業式が終わり、春休みとなった学園に、人影は少ない。 それでも、沙希はさらにヒトの気配のない場所を求め、旧校舎の近くまで足を向けていた。 ……さすがに、この中がどうなっているのかを聞いて知っていた沙希が、足を踏み入れることはなかったが。 中に入ったことさえなかったが、それでも皆との思い出があるこの旧校舎を見上げながら、沙希はつぶやく。 「……わかってたことだもの。」 だから、仕方が無いのだと。 自分に言い聞かせる。 だが――。 こらえきれずにハラリとこぼれた涙は、止め処もなく流れていく。 沙希は立ち止まり、両手で顔を覆う。 彼にとって、大切な人間は3人。 「母親」と「館長」と――そして、「緋勇龍麻」。 それだけ。 緋勇を中心とした仲間たちには、それなりに信頼を置いているようだけれど、沙希はその中にすら入っていない。 クラスメイトとして転向してきた緋勇君と知り合って、仲良くなって、彼らの事情を偶然、知りえる立場になり、応援や、できる限りの協力をしてきたつもりではあった。 ……所詮『力』のない沙希にできることなど、たかが知れていたけれど。 ――そして、彼と知り合い、その瞳に恋に落ちた。 彼の複雑な事情を知り、彼が何をしているのかも知っていた。 それが、決して許されるべきことではないことだということも――。 それでも、彼を恐れることはできなかったし、自ら離れていくこともできなかった。 彼の瞳に、決して自分などが映っていないことなど、充分わかっていたのに。 バカげたことだと分かりつつも、彼の半身である緋勇にさえ、やきもちを焼いたことがあった。 ……いや、今現在、「やきもち」などと言えるカワイイものではない気持ちを、彼に持っているのが否定できない。 彼を恨むのは筋違いだ。 そんなことは、分かっている。 けれど、気持ちは、思い通りになどなってなどくれなかった。 「――ず…るい。……緋勇君、ずるいよ。」 『半身だから』、という理由で、彼に屈託の無い、綺麗な笑顔を向けてもらえる彼がうらやましくて、ねたましかった。 ――緋勇自身の性格もそれに関係していたのは、間違いではないが、それでも……。 『半身』という意味でも、『兄弟弟子』という意味でも、彼が、緋勇に気を許していたのは間違いない。 男の子に、好きな相手に対する、ライバル心を持つなんてむなしすぎる。 でも、止められない。 せめて、相手が女の子であったなら、諦めようという気持ちにもなれたかもしれないのに……。 そう、心の中でつぶやいて、それから、沙希は自嘲した。 ……本当に? 本当に、諦められる?? おそらく答えは――『否』。 それがわかってしまう自分がイヤだった。 同時に、どこまでも優しくて、仲間思いで友達思い、そして、自分自身が、友人として慕った緋勇を憎んでしまいそうになる自分が嫌いだった。 「――なんて、醜い。」 どこまで、自分は醜悪なのだろう。 大好きなヒトに振り向いてもらえないからといって、大切な友人を憎んでしまいそうになる。 「――イヤだ。……イヤだ……!!」 大嫌いだ、こんな自分。 こんな自分が、彼に好かれなくても当然だ。 「っは……。」 涙を流しながら、乾いた笑いが浮かぶ。 ――苦しい。 ……なんで、こんなにも苦しいのか。 こんなにも苦しいのなら、いっそのこと――。 「……消えてしまえれば、いいのに。」 そうつぶやいた瞬間、旧校舎の中から、まぶしい光が放たれた。 目を見開く暇もなく、その光に飲み込まれた沙希は、そのまま、――意識を失った。 ≪続く≫ ********************************** またまた始めてしまいました。 …3つめの連載。…オイ(>_<) それぞれを完結させる気があるんだか、無いんだか…(^^;) もちろん、完結させたいという気持ちはあります。 どこまでできるかはわかりませんが、もしよろしければお付き合いをお願い致します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.08.22 10:15:12
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