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2008.08.21
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こちらは『戦国BASARA(2)』の世界にトリップ!の
ドリーム小説(名前変換なし)です。
●キャラのイメージを壊したくない。
●ドリーム小説は受け付けない。
そういう方は、読むのをご遠慮ください。
読まれた後の苦情はうけつけません。

※ストーリー上、伊達政宗の性格が酷いです。
 政宗ファンの方はご注意ください。
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【時の迷い人】 ~5~



菜香がこの時代に来てから、すでに3年の月日が経っていた。

茶屋で働く菜香は16になり、評判の小町娘として村の若者たちに人気だった。

元の時代にいれば、まだ高校生になったばかりであろう年齢だったが、この時代ではそろそろ結婚の対象として見られるらしく、菜香は度々、声を掛けられるようになっていた。

だが、菜香は、今のところその手のことに興味はなく、カゴ吉と2人で暮らしているのが当たり前で、もうしばらくこのままでいたいと思っていた。

……それに、何より、まだ、菜香は元の時代に帰ることを諦めてはいなかった。
この3年、そんな気配は露ともなかったが、それでも、元の世界を諦める決心はつかなかった。
だからこそ、菜香を妻として求めてくれる人の気持ちには、応えることができなかった。

カゴ吉も、そんな菜香の気持ちを尊重していてくれた。

「おまえが、どうしても一緒になりたいと思う男が現れたら、それを告げればいい。……そうでなければ、オレの元にずっといればいい。」

カゴ吉には、菜香が前に住んでいた場所のことを告げていた。
信じてもらえないと思いつつも、勇気を出して本当のことを言った菜香に対し、カゴ吉は「どこまで理解できたかわからんが、おまえが嘘を言っているとは思っていない。」と言ってくれた。

「いつか、いきなり消えてしまうかもしれない。そのときはごめんなさい。」と、本当のことを告げた後、謝った菜香に、カゴ吉はフッと笑った。

「謝ることはない。……どこにいても、おまえが、元気でいてくれるのなら。……まあ、オレのわがままを言わせてもらえば、オレがくたばった後にして欲しいものだが。」

菜香に看取られて逝くのが、最高の死に方だな。

そんなことを言うカゴ吉に、「死ぬなんていわないで!」と、多少の怒りを込めて菜香は文句を言ったが、心のどこかで、本当にカゴ吉がそれを望んでいるのなら、それが孝行と言うものなら、してあげたいと思っていた。

カゴ吉は、すでにこの時代の平均寿命を超えていた。

いつ、そうなってもおかしくはないのだ。

現に、茶屋のおじいさんは、昨年の冬、風邪をこじらせてあっけなく亡くなってしまっていた。
医者の数は少なく、さらに高額な薬を手に入れることは、この時代、とても困難なことだった。

カゴ吉との別れも、そう遠いことではないのかもしれない。

菜香は、この時代のその現実を受け入れながら、このまま、この時代から帰れないのであれば、少しでも長く、カゴ吉と一緒にいられることを願っていた。


 ※ ※ ※


「菜香、すまないが、蓬と、あと、夕飯につかう山菜をちょっと採ってきてくれないかい?」

おばあちゃんが、団子を丸めながら菜香にそう言った。
今ではすっかり足腰が弱ってしまったおばあちゃんが、菜香に頼んできた。

客は少なく、しばらくの間なら、菜香がいなくても大丈夫そうだった。

「はい!」

おじいちゃんが生きていた頃から、カゴ吉やおじいちゃんに山野の歩き方を学び、山菜採りをしており、最初こそ食べられるものと食べられないものの見分けがさっぱりつかなかったが、今では山菜取りの名人!と自称するほどになっていた。

前掛けを外し、山すそに広がる森の方へと足を向ける。

おばあちゃんのいつもの言葉「あんまり、奥までいかんでええからね!」に、ニコッと微笑み返し、菜香は通いなれた森へと向かった。

ヒトの手の殆ど入っていない森は、見るヒトが見れば食糧の宝庫だ。
菜香は、できるだけたくさんの食糧を集めることに没頭した。

この森は、カゴ吉が管理しているといっても過言ではなく、危険な動物は少なかった。
それに、森の歩き方を学んだ際に、動物たちに対する対処も、菜香はもちろんまなんでいた。
過信こそは許されないが、今年は食糧も豊富であることも加え、めったなことでは動物に襲われる危険性はないと思われた。
だからこそ、菜香1人で山菜取りに行くようなことができるのだ……。

 * * *

菜香が茶屋を出た後、店に男が1人、客として訪れていた。
どこにでもいるような、特別特長のない男だったが、この当りでは見かけない顔だと、1人で店を切り盛りしていた老婆は思った。

男は、注文した団子を頬張りながら、老婆に声を掛けてきた。
「ばあさん、最近、この辺りで見かけない連中がうろついてるってこと、ないかい?」

老婆は、追加に頼まれた茶を注ぎながら、じっと男の顔を見た。
「……あんたは、見かけたこと無いねえ。」

その応えに、男は苦笑した。
「いやいや、オレはいいからさ。……例えば、あっちの森の方とか――。」
「いんや、あの森をねぐらにしてる猟師と懇意にしとるが……、そんな話はとんと聞かんねえ。」
「なら、いいんだけど――。」
と、言いかけた男の台詞が止まった。

はて?と思いながら、老婆が男の視線を追って、森の方向を向くと、そちらの方から少し急いでいる風に歩いてくる男が見えた。
「……あれは?」
男の質問に、老婆は答える。
「さっき言った、猟師じゃ。」
その間にも、猟師――カゴ吉は、老婆の方へと足早に向かってくる。
珍しいことだと、老婆は首をかしげた。

「ばあさん、菜香はどこだ?」
珍しく、焦ったような声のカゴ吉に、老婆は森を指差す。
「山菜をとってくるように、たのんだが――。」
老婆の答えにカゴ吉は、両目をこれでもかと言うくらいに見開いた。

「いつだ!」

怒鳴りつけるようなカゴ吉の声に、老婆は何か尋常ではないことが起こったに違いないと、慌てた。
「まだ、半時もたっとらん。」

その返答を聞くや否や、カゴ吉は今きた道を全力疾走で引き返していった。
あっけにとられた老婆だったが、自分にできることはおそらく無いと、さっきの客に視線を戻した。が――。

そこに、客の男はおらず、代金だけが置かれていた。

思わず、老婆は、辺りを見回したが、先ほどの男はどこにもいない。

わけがわからなかった老婆だが、金はもらったし、慌てても仕方がないのだと自分に言い聞かせた。

そして、カゴ吉と菜香がいつもどおりに自分の前に、なんでもなかったといいながら戻ってくることを祈っていた。


≪続く≫


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やっとこ、誰かさん登場です。
私の趣味からして、それは『彼』になりました。

さあ、どうやって、話を進めましょうか(^^;)







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最終更新日  2008.08.25 14:11:34
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