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テーマ:ゲームや漫画の二次創作(39)
カテゴリ:【小説】時の迷い人
================================================== こちらは『戦国BASARA(2)』の世界にトリップ!の ドリーム小説(名前変換なし)です。 ●キャラのイメージを壊したくない。 ●ドリーム小説は受け付けない。 そういう方は、読むのをご遠慮ください。 読まれた後の苦情はうけつけません。 ※ストーリー上、伊達政宗の性格が酷いです。 政宗ファンの方はご注意ください。 ================================================= ※死にネタ注意 ※暴力表現あり 【時の迷い人】 ~6~ 菜香は、いつも自分が山菜をとりにきている辺りにいた。 この辺は、色々な種類の山菜が自生しており、菜香のお気に入りの場所だった。 山菜を入れるようの籠を抱え、ちょっと鼻歌交じりに草を分けて山菜を探していた菜香だったが、聞きなれない音を耳にし、ハッと顔を上げた。 それほど遠くない場所で、「パンッ」と、何かが破裂するような音が鳴った。 「……なに?」 ざわざわと、胸が騒ぐ。 鳥たちが、われ先に、飛び立っていくのが見える。 そして、ザザッと、草をかき分ける音がしたと思ったら、鹿が菜香のすぐ近くを走り去っていった。 その視界に捉えた、「赤」。 菜香の近くを逃げていった鹿は、怪我をしていた。 一瞬、カゴ吉が狙った獲物に逃げられたのか?と思ったが、その場合、矢傷でなければおかしい。 だが、鹿の傷は、それほどしっかりと見たわけではないが、矢傷とは何かが違う気がした。 心臓が、うるさくはねる。 (ここにいてはいけない。) 何かが菜香に訴えかける。 菜香は慌てて籠を抱えなおすと、鹿が逃げてきた方向を避けながら、村へ戻るために足を動かした。 だが――。 「へぇ……。獲物を追いかけてきてみれば、女がいたぜ。」 いやな響きの声だった。 聞いたこともない声だった。 後ろを振り返る余裕もなく、菜香は駆け出した。 「へえ、追いかけっこか!?」 「せいぜい、逃げてみな!」 複数の男の声がする。 菜香を追いかける足音がする。 いくら、森になれているとはいえ、所詮女の足だ。 必死に逃げたにも関わらず、菜香は男たちにつかまった。 「……あ……、あ……。」 無理やり腕をねじられて、あごをつかまれた。 目の前には、醜く笑う男の顔。 男は4人いて、ばらばらではあるが全員が武装していた。 (のぶせり――!!) 『やつらは、容赦がない。女と見れば襲い、子供からでも金品を奪おうとする。――見つかる前に逃げろ。』 カゴ吉の声が聞こえる。 共に暮らした数年の間に、何度聞かされたかわからない。 ――つかまった! つかまってしまった!! ガクガクと、体が震える。 この男たちが、自分をどういう目で見ているのか、カゴ吉の言葉が無かったとしても、気付かずにはいられなかっただろう。 「――っ!! は、離して――!!」 恐怖をこらえて、出せる限りの声で叫ぶ。 おびえる菜香に、男たちは、心底楽しそうだというような顔で笑う。 「――へえ、こんな山ん中にはもったいないくらいの、別嬪じゃねえか。」 ニヤリと笑う男の黄色い歯が汚くて、息がくさくて、菜香は顔をそむけようとしたが、あごを強くつかまれていて、顔を動かせない。 泣きそうになりながらも、気丈に男たちを睨みつける菜香に、また、男たちは気持ちの悪い笑みを浮かべる。 「気の強ええ女は、好きだぜ。――泣き喚くまで、いたぶるのが楽しいからな。」 下卑た顔で吐き気がするようなことを言う。 無理だとわかっていても、菜香は、諦めたくなかった。 必死で男たちの拘束から逃れようと暴れる。 その瞬間、パンっと、頬に痛みが走った。 痛みに一瞬動きをとめた菜香を、男たちが土の上へと押し倒す。 腐葉土が積み重なった、湿り気のある柔らかい、菜香には馴染みのある土だが、今は、それが顔の横にあるのが、押さえつけられた腕が少し埋まるのが、尋常でない状況を菜香に知らしめるようで、怖かった。 がむしゃらに手足をばたつかせようとする菜香を、男たちは2度、3度と殴りつけてくる。 痛くて、怖くて、涙が流れる。 それでもおとなしくしようとしない菜香に、今度は男が腹部辺りをなぐりつけてきた。 「っ! ……かはっ!!」 一瞬、菜香の体が反射的に跳ね上がり、目の前が真っ暗になる。 「いいかげん、無駄な抵抗はやめとけ。」 「そうそう。したら、いい目、見させてやるからよ~。」 男たちの声が、不快で怖くて、仕方が無かった。 頬を何度もたたかれて、視界がくらくらした上に、おなかを殴られて目の前が真っ暗になり、呆然とどこを見るとも無しに涙を流している菜香に、弱いものをいたぶるに高揚感を感じているらしい男たちは、本当に楽しそうにわらった。 ――それがまた、怖くて仕方がなかった。 ようやく菜香が抵抗を諦めたと見た男たちは、菜香の着物を遠慮なく暴いていく。 襟を無理やり広げ、菜香の胸元をさらす。 「――やあっ!!」 外気にさらされた胸元を隠そうとするが、手を押さえつけられていては、何もできない。 男たちは続けて、着物のすそを開き、手を菜香の足に触れようとした――。 その瞬間、ザシュッ!と――重い、何かを振り下ろした音が聞こえた。 そして、何か生暖かい雫のようなものが、菜香の顔に、そして胸元に飛び散った。 ――一瞬遅れてそれが赤い色をしていて、いつかどこかで嗅いだことのある匂いをしていることを理解する。 目の前の男は力なく菜香の隣に崩れ落ちた。 ――その向こう側に、全身から怒りの感情が吹き出ているような、それでいて、いつもは無口でも岩のようにどっしり重みがあり、頼りがいがある優しさを感じられるカゴ吉さんが、一切の感情を捨て去ったような冷たい、氷のような目をして、鉈を握り締めた格好で立っていた。 何が起こったのか分からない。 ――いや、起こったことはおおよそわかるのだが、頭が理解することを拒否していた。 * * * 乱れた着物のまま着物を直そうとも、顔に掛かった血をぬぐおうともせず、呆然と自分を見上げてくる菜香に、心の中で苦い笑みが浮かぶ。 おそらく、怖いのだろう、カゴ吉が。 ……理解しているつもりだ。 自分が、今、どういう顔をしているのか――。 だが……。 (菜香が無事であればそれでいい。) 嫌われようと、怖がられようと、菜香が元気で生きていてくれれば、カゴ吉には、それ以外はどうでもよいことだった。 そして、残った3人の男たちに向き直る。 仲間の1人の頭を、不意打ちに鉈で叩き割られたのだと理解した男たちは、憤怒の形相でカゴ吉を睨みつけてきた。 「てめえ――! 覚悟は出来てんだろうな!?」 言いながら、腰に下げていた剣を抜き、カゴ吉に飛び掛ってくる。 今はのぶせりとは言え、一応戦の訓練をしていたらしい男たちと、ただの猟師のカゴ吉では、どちらに分があるかは決まりきっていた……はずだった。 事実、次の男が倒れたときには、カゴ吉もまた血まみれの状態だった。 息は荒く、傷からは鮮血が流れ落ちている。 それでも、カゴ吉は止まらなかった。 仲間が倒れるのに気を取られたらしい男のスキを見逃さず、3人目の男をも地に叩きつけた。 残りは1人――。 が――。 4人目の男は、3人目の男が倒れたのとほぼ同時に、カゴ吉の腹部を持っていた銃で打ち抜いていた。 「がはっ!!」 カゴ吉の口から、大量の血が吐き出される。 「――!!!!!」 目の前がかすむ。 それでもカゴ吉は、その4人目の男を地べたに叩きつけるまで、止まることはなかった。 最後の男が倒れた後、カゴ吉は、菜香の方を振り向いた……ようだった。 が、それは適わず、ドシンと、重い音を立て、カゴ吉はその場に崩れ落ちた。 それまで、ただ呆然と、目を開いて目の前の出来事を見ているだけだった菜香が、ようやく我に返り、無意識にカゴ吉の下へと駆け寄った。 ――先ほど、自分は確かにカゴ吉に対して少なからず恐怖を感じたはずだった。 だが――。 倒れたカゴ吉に駆け寄るのに、何の躊躇もすることはなかった。 「――カゴ吉さん!! カゴ吉さん!!!!」 必死に呼びかける菜香の声に、カゴ吉は、ふっと閉じていた目を開け、菜香を見てくれた。 「……っ! カゴ吉……さん!!」 涙が溢れる。 どうしたらいいのか分からない。 血が、止まらない。 必死で傷口を抑えるけど、そんなことは何の益にもなっていないことは、菜香にもよくわかっていた。 いやだ、いやだ、いやだ、いやだ――。 止まって、お願い! 血、止まってよ――!!!!! ぼろぼろと涙が溢れて止まらない。 泣きたくないのに。 「――す……まんな。」 かすれるような、力の無いカゴ吉の声が聞こえて、傷口を見ていた菜香は視線をカゴ吉の顔にうつす。 カゴ吉は、「なぜ?」と問い掛けたくなるくらい、穏やかに笑っていた。 「……もう……頭を、撫ぜて……やれん。」 すでに、手を動かす気力さえないのだろう。 菜香はさらに涙が溢れた。 ぶんぶんと頭を振って、そんなのいい!と菜香は叫ぶ。 「……っ、死なないで――。」 無理な願いだとわかっているのに、言わずにいられなかった。 「……すまん――。」 謝ったかと思うと、カゴ吉は息を吐いて、ゆっくりと目を閉じた。 「目、閉じないで!!」 菜香言葉に、カゴ吉は笑ったようだった。 「――おまえが……無事で、よかった……。」 そう言った後、カゴ吉の全身から力が抜けるのが分かった。 「カゴ吉さん! カゴ吉――、お父さん!!!!」 目を開いて欲しくて。 いなくなってしまうなんて、信じたくなくて。 ――殆ど無意識にこぼれた言葉――。 『お父さん』 いつか、カゴ吉さんのことをそう呼びたくて、でも、ちょっとした気恥ずかしさがそれを邪魔して……。 中々呼べなかったのに、するりと今、口から飛び出した。 今、呼ばなかったら、永遠にその機会を失ってしまう。 そう、無意識のうちに頭が判断したようだった。 その『お父さん』という言葉に、元々穏やかだったカゴ吉の顔が、嬉しそうに笑みを作るのがわかった。 ――聞こえた。 ――届いた。 「――お父さん! お父さん、お父さん!!!」 菜香は、ただ、呼びつづけた。 ――おそらく、もうすでに、カゴ吉の耳には届いていないと、どこかで理解しながらも。 ……それでも、「なんだ?」と、カゴ吉の、あのとても低い、けれどもとても安心できる優しい声で、菜香に語りかけてくれるのを、ただ、ただ、祈りながら……。 ≪続く≫ ************************************** ……すいません。 暗いです。 ハイ。 とてつもなく、暗いです。 また、バサラキャラ出てないし(^^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.08.25 16:17:45
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