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おるはの缶詰工場

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2007年07月09日
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カテゴリ:妄想天国
 七夕当日。

 七夕フェアとしたショタカフェは、たくさんのお客さんが来店し、浴衣を着た彩たちがその対応に追われた。

 予定のケーキも完売してしまい、早く店じまいをしたショタカフェには、今は透耶と彩の姿しか残っていない。

「あ、みんな帰った?」

 レジの締めをしていた透耶は、いつの間にか店内に飾った七夕飾りを見ているのを彩に気づいて声をかけた。

「うん。静姫は圭に、奏は迎えに来た亮さんに強請って近くの神社の縁日に行くって。由良は絢ちゃんと一緒に帰ったよ。あ、由良以外はみんな浴衣借りてくってさ」

「『縁日には浴衣が一番』とか叫んでたからね。あれ? 絢くんは縁日行かないんだよね」

「そう。だけど、浴衣姿を見せて、執筆に行き詰ってるお義父さんを励ましてあげるんだってさ」

「そ…そう」

 実は「そうしたら?」と入れ知恵をしたのは彩なのだが、透耶はそこまで気がつかない。

 ただ、なんとなくその口元に浮かぶ意地悪そうな笑みから、身の危険を感じていた。

 縁日に行くのだろうか、それとも…。

 不安とも期待ともいえる胸の高鳴りに、透耶が一人で赤くなっていると、不意に彩の笑い声が響いた。

「うん?」

「コレ、由良ってば結局あの幸薄そうな字で『幸せな結婚』て書いた短冊を飾ったんだね」

 笹に飾られた一枚の短冊を手にとって笑っていた。

「あ、こっちは静姫かな? 『一日一スキンシップ、週一エッチ』だってさ」

「ウソっ、そんなの飾ってあるの?!」

 七夕飾りは全て子供たちに任せていたので、透耶は短冊に何を書いてあるのかチェックしていなかった。

 真面目な透耶は、人の願い事を読むのはなんだか不謹慎な気がしていたのだが。

「チェックしとけばよかった…」

 だから、それを読んだお客さんがキャーキャー騒いでいたのか、と脱力してしまった。

「大丈夫。名前かいてないし、冗談としか思ってないんじゃない?」

「そう、だといいけど」

「圭は真面目だよ。『みんな高校入学できますように』って、まだ一年半以上も先の話なのにね。もうちょっと静姫を喜ばすお願いをすればいいのに。あ、隣は絢の短冊だ。『お義父さんのお仕事が終わって、僕と遊んでくれますように』」

 みんなの短冊を何の躊躇もなく読み上げていく彩。しかし、ふっとそこで止まってしまう。

「どうかした?」

「奏の、……『これ以上大きくなりませんように』だってさ」

「え?」

 みんなの中で一番小さい奏なら、普通は『大きくなりたい』って書くはずじゃないのか、と不思議に思う。

 しかし、彩は理由を知っているのかちょっと悲しそうに笑った。

「大きくなったら可愛くなくなっちゃうって。そしたら、亮にぃに好きでいてもらえるか、自信がないって言ってた」

 奏もなんだ…と彩が呟く。

 その呟きに、同じような悲しみを感じて、透耶は無意識のうちに口を開いていた。

「そんなこと、ない。大きくなっても可愛いと思うし、それに可愛いから好きなだけじゃないだろ」

「そう…かな?」

「そうだよ。だから、安心して大きくなればいいから」

 そう言うと、彩は恥ずかしそうに笑った。

 やっぱり、彩も少し不安になっていたらしい。

 大きくなったことを嬉しく思う反面、「小さくて可愛い」というポイントがなくなってしまうのが、怖かった。

「ところで、彩は? 何を願ったんだ?」

「聞きたい?」

 ニヤリと意地悪い笑みを見てしまうと、素直に「聞きたい」と言うには抵抗があった。

 引きつった顔をして固まる透耶を無視して、その願い事を教えてあげた。

「『愛欲の日々』」

 低くひそめられた声を聞いて、ビクッと透耶の身体が震えた。

「もう帰れる?」

 艶を含む声に、透耶はせめてもの抵抗に「一緒に縁日行く?」と言ってみた。

 ここは外に連れ出して、危ない雰囲気を回避すべきだ。

 そんな些細な透耶の抵抗を、彩は「いや」と間髪いれずに断った。

「蛍の観察会のときみたいに、デリケートな部分を蚊に刺されたらたまんないだろ」

 一瞬、言われた意味がわからなかった。

 しかし、彩の視線が怪しげに透耶の身体を嘗め回すのを感じて、かーっと頬に赤く染まった。

「そ、そんなことっ、するわけないだろ!!」

「そうかなぁ、きっとしちゃうと思うけど」

「あのときだって、彩が無理やり引きずり込んで…」

「うん。だけど、木にしがみ付いてそこを差し出したのはどっちだったっけ?」

「っ!!」

 真っ赤に染まって絶句した透耶は、カウンターに縋るように手をついた。

「あぁ、もう感じて足が立たなくなっちゃった?」

 彩の甘い言葉にとらわれて、条件反射のように透耶の手足からは力が抜けてしまう。

「ここでも、いいよ」

 耳元に吹き込まれた悪魔のような囁きに、透耶は目を閉じて唇を震わせた。



久々に小悪魔な彩を書きたくなって、七夕当日はこの二人。
あはは~、「七夕当日」といいつつ過ぎてるし。
うわ~ん、だって思いつかなかったんだもん。けど、急にムクムク妄想が膨らんじゃってスマイル
急いで書いたお話なので、ちょっぴり文章がおかしいかも…。


七夕企画をフリーページにまとめてアップ。 → 七夕。





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最終更新日  2007年07月09日 09時39分40秒
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