カテゴリ:妄想天国
青天の霹靂
「あー、なんかおもしろいことないかなぁ」 これが最近の俺の口癖。 何もすることもない暇な時間を、学校の屋上に寝転がって過ごしていた俺は、綺麗に晴れ渡った青空を見ながらつぶやいた。 高校に入学してからほぼ1年、毎日が同じことの繰り返しなんだ。 授業を受けたりさぼったり。課題を忘れて怒られて…けどまた忘れる。 多少教壇に立つヤツの顔が変わるくらいじゃ、何の刺激にもならない。 おもしろいことがあるはずないとわかっていても、ついついぼやかずにはいられなかった。 もちろん、呟いているだけで答えを求めてるわけじゃない。だから、隣に座るアイツが「たとえば?」と聞き返してきたことに驚いた。いつもなら、俺の戯言とスルーしてしまうはずなのに。 「え? たとえば…か。たとえば、日本が海に沈むとか!」 「死ぬよ?」 「いいんだよ、それでも。あとわずかな命で、ドラマチックな恋をするんだ!」 「そうか? 俺は好きな相手とずっと生きていきたいけどな。もし両想いになったとしたら、すぐ人生が終わるなんてもったいないだろ?」 ふざけ10割の言葉に、真剣にそう返されて俺の方が照れる。 友達づきあいは1年になるが、こいつがこんな風に考える奴だとは知らなかった。 「うーん、じゃぁ。突然雷に打たれたかのような衝撃的な恋に落ちるとか?」 そんなことあるわけない、と笑われるかと思っていたのに、隣からはなんのリアクションも返ってこない。 これは、あまりの馬鹿さ加減にあきれられたか…と一人納得していると、ポツリと言われる。 「……一目ぼれ、か」 意味深な響きのそれに、まさか経験ありかと追及しようとしたが、それよりも早く聞き返されてしまう。 「ドラマチックで衝撃的な恋ね。それがお前の面白いことなんだ?」 そういや、もとはそんな話だったな…。 どっから恋の話になったのか、と思い返していた俺はアイツの言葉に反応が遅れる。 「じゃぁもし、俺がお前のこと好きだっていったらどうする?」 「……は?」 なにを言われたのか本気でわからなかった。 だから、見上げていた青い空が陰ったのも、どうしてなのかわからなかった。 迫ってくる真剣なアイツの顔が近づきすぎてぼやけてしまったあと、唇に柔らかな感触を感じた。 数回のまばたきの後に、また青空が戻ってくる。 呆然とただ空を見上げるだけの俺に、アイツが聞く。 「雷、落ちたか?」 雷? 雷が落ちたかなんてわからない、けど……。 「日本が沈没するくらい驚いた」 俺の答えに、アイツが「だろうな」とわずかに笑いを含んだ声で言った。 たちの悪い冗談か! とアイツを睨みつけた俺は、その顔を見て感電したかのように、身体に震えが走った。 泣きそうなくせに無理やり笑いを浮かべて、冗談にしようとしているつもりなのか? 全然成功していない。いつもは、なんでもそつなくこなすくせに。 なんだよ、その目は。 こっちが切なくなるくらい、何かを訴えるかのような目で、ずっと俺を見てたのかよ。 身体の震えは治まったのに、なぜかドクドクと心臓が早鐘を打っていた。 「ドラマチックで衝撃的な恋だろ?」 ………ヤバイ、反論できないかもしれない。 50音に入れたかったのに!! 実は「せ」は使用済みでした…。 最初に確認しなきゃダメでしたね…。 ただ、「もし俺がお前を好きだって言ったらどうする?」というセリフから入ったので、タイトルは「青天の霹靂」と決めてしまっていたのです! もうこれは変えようがない!ということで、日記にアップ。 うーん、そもそも「空が落ちるほどビックリした」という言葉で締めたかったのです。 が、よく考えてみれば、それは「杞憂」のお話。 (杞憂:空が落ちてくるんじゃないか、月や星が落ちてくるんじゃないかと心配した人のお話だった気がする…) 最初から間違いだらけのお話でしたが、それなりにまとめることができました…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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