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おるはの缶詰工場

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2009年06月25日
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カテゴリ:妄想天国
皐月はバーのカウンターに座っていた。

いつも行っている馴染みのバーとは違う。
そこは、顔見知りも多くて、堕ちこんでいれば慰めてくれるってわかってるから。

でも欲しいのはそんな慰めじゃない。
優しい慰めなんていらい。

ただ放っておいてほしい。
そうすれば、この胸の後悔と罪悪感で自分を苦しめることができるから。
優しすぎて「さよなら」しか言ってくれなかった彼の代わりに。

「初めてみる顔だね」

いつの間にか隣に座っていた誰かに声を掛けられ、皐月は睨みつけていたカクテルから視線を移す。

真っ黒な服に真っ黒な瞳と髪。
中性的な美貌の主は、頬杖をつきながら、皐月のことを見ていた。

笑っているのに、その笑顔が怖いと思う。

なぜか震える身体を無意識のうちにひくと、彼の指が追いかけてきてシャツの襟に触れた。

「浮気して失恋ってとこかな?」

跡が見えないように、襟を立てていたのを暴かれて、皐月は羞恥に頬を染める。
彼から距離をとり、襟元を握りしめた。

「あんたに関係ないだろ、放っておいてよ」

「そう? 僕は君から感じるけどな」

「感じるって…なにを?」

「『思いっきり泣かせてほしい』って」

そういう匂いに敏感なんだ、と彼はほほ笑んだ。

人の血が通っているのかと思うほど白い、彼の指先がゆっくりと伸びてくる。
泣きたくても泣けなかった皐月の目元に触れた。
その瞬間、皐月は悟った。

『悪魔』

堕ちることを望む人の匂いを嗅ぎわけ、地獄へと導く。
そんな調教師がいると聞く。

目元に触れていた冷たい指先が、ゆっくりと頬をすべり、あごを捕らえられた。
まっすぐに目を覗きこまれて、皐月の心の中まで見透かされた気分になる。

目をそらすことも声を上げることもできない自分は、やはり堕ちることを望んでいるのだろうか。

「君を泣かせてくれるご主人さまを探してあげる」

そうそそのかす悪魔の名は 三瀬 玲音(レオン) と言った。



※ ※ ※


なんか…普通のお話を書いていたせいで、やっぱりSチックを書きたい欲求がー!!!
たまったうっぷんで、勢いで書きあげたお話。

続きません!!!

こういう冒頭を書くのが結構スキ。
このあと、
皐月方面に行って、元彼とよりを戻すか、それともご主人さまを見つけるか。
ご主人さまなら、虐められるか愛されるか…。
レオン方面に行って、この調教師に恋人を作るか…。
レオンの苗字はチラリと他のお話でも出てきたりしてたんですけどね~。
知ってる人はたぶんいない!

そして、二人をくっつけようとは思わない…。
だってあまりに皐月が弱すぎる!







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最終更新日  2009年06月25日 15時04分44秒
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