カテゴリ:妄想天国
問題.怪しいクスリがありました、あなたなら飲みますか?
ある日の、ショタカフェ閉店後。 店内の掃除を任された絢と彩は、数日前祐輔から渡されたクスリの話をしていた。 「え? 絢ちゃん、あのクスリ試してないの?」 ビックリしたように聞き返されて、絢は逆に驚く。 「え…、彩は試したの?」 「もちろん!」 面白そうだったし…と言葉を続ける彩の危機感のなさに、絢は少なからず不安を覚える。 「彩…もし危ないものだったらどうするの」 「えー? 祐輔さんがくれたものだし、心配ないよ!」 大胆というべきか、それとも無謀と言うべきか…。祐輔さんに全幅の信頼を置いていると言ってしまえば、それまでだが。 『面白いお薬だよ』なんて渡されて、素直に飲めるほど絢は無謀ではなかった。 「結構楽しかったよ?」 ニヤリと笑う彩の顔には、満足した男の色香が漂っていた。 「僕はヤマネコで、奏はネコ、静姫はウサギで祐輔さんはオオカミだったらしいよ?」 「祐輔さん、自分も使ったんだ?」 「そう! 『情熱的な一夜だったよ』だってー。ホントかどうか知らないけど、それからしばらく椎名さんはお店お休みしたらしいから、よっぽど激しい一夜だったんじゃない?」 椎名さんも大変だなーと、思考が祐輔寄りの彩が軽く笑う。 「で? 絢のクスリは残ってるんだよね?」 目をキラキラさせて聞いてくる彩をみて、狙いはそこかと絢は納得した。 よっぽどヤマネコになったのが楽しかったようだ。 使う予定もない絢は、苦笑しながら頷いた。 「うん、使ってないから…」 祐輔に是非にと言われて持たされた子供用のカゼシロップの容器。 こんなものを持ち帰れば三智がまたショタカフェに文句を言いに怒鳴り込んでくるとわかっていたが、にっこりと笑う祐輔に逆らうことができなかった。 仕方なく持って帰ったそれを、三智に見つからないようにと調味料を入れた戸棚にしまったのは覚えていた。 「あれ…?」 そういえば、昨日お醤油を出した時に、そんなものを見た覚えがない。 「ない……かも」 「えー、ないの?」 残念そうにふて腐れる彩を尻目に、絢は血の気が引く思いをしていた。 なくて当たり前のものだから、気づきもしなかった。もしあれを三智さんが飲んでしまったら、と思い絢は落ち着いていられなくなる。 「どうしよう…なくなっちゃった」 あんな怪しいクスリをどこへやってしまったのか不安で、絢はほうきを抱えたまま小さく呟いた。 声を震わせている絢の様子に、軽く考えていた彩も真剣な表情で心配する。 「三智さん、何か言ってなかった?」 「……うん、なにも」 もし三智があのクスリを飲んだとしたら、黙っているわけがない。不良品だったのだろうか、と思っていると彩が別の可能性を指摘した。 「じゃぁ、別の人が持ってったんだよ。誰か家にこなかった?」 そう言われて、絢の脳裏に一人の男の顔が浮かんだ。 「一瑠さんだ!!」 そういえば一昨日の昼間に来て、台所でお昼を作ったと言っていた。 慌てて取り出した携帯で一瑠に電話をかける。 その電話口から「それ、青虫にあげちゃったよー?」という能天気な返事が返ってきた。 「と、取り戻してください!」 真っ青になった絢が、悲鳴に近い声で叫んだ。 さぁ、青虫から無事クスリを取り戻すことはできるのでしょうか? 答えはその後に…。 以前書いていた獣化シリーズの絢編です。 ずいぶん間があいてしまったので、忘れられてると思いますが…。 彩・ヤマネコ編と祐輔・狼編 フリーページにこれだけ残ってました…。 あとは日記に直接アップしたので、流れて行ってしまいましたね! 絢だけ書いてあげないのは不公平だな~と思って書いたお話。 けど、絢がそんな怪しげなクスリ飲むはずないし。 どこかへ横流しだな! と流れた先が一瑠のとこでした。 禁断の~にちょっぴりでてきた一瑠と青虫!そろそろくっつけてあげたいです。 楽風呂シスターズ、今年も参加してます! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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