カテゴリ:妄想天国
別に一瑠の言いなりになったわけじゃない。
家に帰ったらすぐに寝ようと思っていたし、家に風邪薬なんてなかったから仕方なく、…本当に仕方なくだからな、と言い訳をしながら、揚羽は一瑠からもらった『こどもかぜシロップ』を飲んで寝た。 それからどのくらい寝たのだろうか。 目が覚めたとき、体調は最悪だった。 身体は重いし頭痛はするし。やっぱり子供用の風邪薬なんて効かないんだ、と顔の上にある邪魔な何かを持ち上げた時、違和感に気づいた。 この、生温かなものはなんだ? 持ち上げたソレは、ほのかに温かく、そして滑らかな肌触りだった。何よりおかしいのは、耳を触っていると自覚したことだ。 「!!」 飛び起きた瞬間、具合の悪さからだけではなく、めまいがした。 茶色の毛で覆われた垂れ下った両耳が、反動によって軽く両頬にぶつかる。 「……」 ギュッと握れば痛いし、引っ張っても痛いだけで取れる気配はない。 そうか、まだ目が覚めてないんだな、と現実逃避に走った揚羽は、もう一度寝なおそうとベッドに横になった。 が、顔に触る耳が気になって眠れない。 払いのけると、今度は耳の位置が気になって眠れない。 長い耳を持て余してゴロゴロしていると、ベッドの下に放ってあった携帯が突然鳴り出した。 しぶしぶ携帯を拾いあげる。 画面には「敵」の1文字。 やっぱりお前の仕業かっと揚羽は力いっぱい通話ボタンを押した。 『もしもし、青虫~、生きてる?』 呑気な一瑠の声に、怒鳴ろうとしていた揚羽は出鼻をくじかれた。 『昨日渡した風邪薬だけど、中身が違うんだってさ。平気か~?』 大丈夫じゃない、あんたのせいで!! と、非難してやるつもりで開いた揚羽の口からは、息が漏れる音しか出てこなかった。 何度声を出そうとしても、それは音にならない。 『青虫? どうかしたのか?』 のんびりしていた一瑠の声が、わずかに真剣な響きがこもる。 今さら遅いんだよっと意味を込めて、ガリガリと通話口を引っ掻いてやった。 『わっ』 慌てる一瑠の声に少し溜飲下げ、揚羽は携帯の電源を切って放り投げた。 ※ ※ ※ 行き当たりばったりの更新です… 読んでるよーと言ってくれる方がいて、せっせと書いてみました。 先日、あさひさんたちとお会いしていろいろ話を聞きました。 人のお話の書き方はそれぞれだし、何を求めてるのかも別なんだな~と実感。 『おとぎの国なんだよ!』 と主張されるのには激しく同意です。 だから、耳が生えてもオッケーなんですよ! 疑問になんて思わないんです!! そういえば、今日は半日お休みを貰って名古屋から直会社出勤でした。 3時間の通勤時間はツライ!! むくんだ足を引きずりつつ、会社の中をウロウロしてます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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