「お仕置き」2
「いやん、エッチー」「『エッチ』じゃない。人聞きの悪いことを言わないっ」 抵抗する奏を押さえ込み、抱え上げているお尻を平手で叩いた。手に感じるのは布越しの柔らかな感触だけ。生尻じゃないだけありがたいと思えっ!「二度としないって約束できるよな」 そろそろ許してやろうと、そう声をかけたが、奏はキッと涙目で俺を睨みつけてくる。反抗的なその視線には、反省の色が見えない。「……少しも反省してないみたいだね。子供が火なんか使っちゃダメだろっ」 大学から帰って玄関を開けると、二つのことに気がついた。奏の小さな靴と焦げ臭い匂い。慌ててキッチンに駆け込むと、フライパンからもうもうと煙が立ち昇っていた。 フライパンの前で呆然としている奏の無事を確かめると、火を止めて換気をした。 死ぬかと思った。 ほっとしたと同時に怒りが込み上げ、奏を叱りつけていた。「子供が火なんか使っちゃ危ないだろっ」「子供じゃないもんっ」「小学生はまだ子供だ」 はっきり言い切ると、奏は悔しそうに唇を噛み締めた。みるみるうちに目に涙が溜まっていく。 突然癇癪をおこして暴れ始めた。「亮にぃのバカ! 離せよっ」「こら、奏!」 バシンと軽く尻を叩いた。「あぁん、もっとぉ」 奏の言葉に俺は固まった。 大げさで芝居がかった声だったけど、それは紛れもなく喘ぎ声の真似事で。 一瞬熱くなった後、急激に冷めていく。 ちょっと待て、俺そんなこと教えたか? 頭の中がショートしている俺の手から、奏がするりと逃げ出した。「ちょっと待てっ。奏、そんな言葉どこで覚えてきたんだ!」「知らないっ、亮にぃのば~か、過保護!」 ベーっと舌を出して、さっさと逃げて行ってしまった。 ―――これは、徹底的に追及しなくては。「お仕置き」の二人です。前後編にするつもりで書き始めたお話。・・・・・・、予定通りいくかしら?かる~いショタってことで、最中はありません。