ペッポコ君たちの覚悟のラストステージ、その5
舞台袖へ向かう鉄扉を開けるには大して力は必要なかった。むしろ普段よりも軽く勢い良く開いた。第二部の演奏が終わり客席から舞台袖へと向かう何の迷いも無く、薄暗い舞台袖へ向かう、本人達も自覚しているのであろう浮ついた状態でペッポコ君たちが第三部へ向けて準備をしている。正直に言う、第一部も第二部もとても満足の行く演奏ではなかったオレはこいつらの普段を知っているオレはこいつらの背景を知っているオレはこいつらの3年間を知っているオレはこいつらの歴史を知っているオマエらは入部からガッチリ付き合ってるメンバーなんだよっ!!オマエらのステージは全部オレは客席で聞いてるんだよっ!!いつだか本気で頭に来る事もあったいつだか本気で感激する事もあった自分でもわからないオレなんでこいつらと何年も付き合ってるんだろオレなんでこいつらに音楽の大切さを伝えてるんだろオレ表現力が無いから、全く伝わって無くってでも表現力が無くても、とにかくしゃべってなんとか伝えたくって、大切なのは譜面ズラなんかじゃなくて合奏するのは気持ちを合わせることや強い意思を合わせることや、縦の線や横の線などもう分かんねぇ~話ばかりで、でもそれは本当に大切なことで人間の凄さや、強い気持ちの大切さなど、、、、でも、コイツらわかんねぇ話はわかんないなりに実践してくれてその結果かどうかわからねぇ~けど、オレもびっくりするような演奏をしたりしててかまた逆に全くシカトぶっこいたりオレの話は全部スルー状態にしたりとにかく、まぁ~色んなコトがあった本当に頭に来る事も感激する事も沢山あったそんなお前らが沈んでいる栄光のラストステージで沈んでいる謎の弊害に果敢に立ち向うが、やられている普段のオマエらはこんなモンじゃねぇ~のにダメだ、絶対このままじゃいけねぇこんな状態をオマエらのラストステージにする訳にいかねぇ~はっきり言いまして舞台袖に殴りこみです、オタついてる3年にヤキを入れます動揺してる2年を怒鳴りつけます何て言ったかは自分でもよく分かりません言葉なんて何でもいいんです、このままじゃいけないと言う気持ちが伝わればいいんですそして部長を見つけます、この状況を打破する為にヤキを入れる、、、のですが部長の表情、、、、いつか見た表情もう完全に血液が上に上がってこない表情全然平気っすよぉ~みたいな顔をしてるが尋常ではないこの表情を見て、普段だったら「よし大丈夫だ頑張れ」的なことを言うのだがこんなに一生懸命立ち向かってる部長、ド根性を振り絞ってる部長もうこれ以上何を言うというのか、、優しく、声を掛けて、残りの3部、悔いの無いよう思い切りや、、、とは声をかけませんもうコイツは覚悟を決めたヤツなんですダメなモンはダメ構わず怒鳴り付けますオメェ何やってんだよっ!!このままじゃ終われねぇ~ぞっ!!っつ~コトはどう言うコトが分かってのかゴラぁ!!今現在は負けまくってるんだぞ絶対ぇ、絶対ぇ負けたままでいるんじゃねぇっ!!、、、、、、、、、一体、何に負けて何に勝ってるのがよくわかりませんが、、、とにかくそんな想いを伝えました、、いや、そんな想いを怒鳴りつけました、正直酷いと思います、コイツらがどれだけ気合を入れて立ち向かってるのかわかってるのに、怒鳴りつけるのです今まで散々、他の部員のコトをわかってヤレと言っておきながら怒鳴りつけるのですしかも内容が全然意味不明なコトを怒鳴り付けますすると2年パーカスが駆け寄り「先輩、次見ててください、絶対に決めます」ものすごい真剣な顔で私に言います「よしわかった、負けたままでいるんじゃねぇ!!」散々言いたいコトを言い、お構い無しのことをブチ巻け客席に戻りますもう本気で願います、頼む次のステージ第三部の本当の本当のラストのステージに本番の悪魔は来ないでくれいつも通り、コイツらの熱い演奏をさせてくれ客席でオレが祈ります、舞台袖で他のOBが祈ります受付でOBが、照明室で、楽屋で、駐車場係が、今日来れなかった全国のOBが祈りますこのままじゃ、いけねぇ~このままじゃ、終われねぇ~絶対ぇ負けたままじゃ、終われない最終章第三部のステージラストのラスト全神経を集中して臨みます