紀伊半島:三重県・丸山千枚田
■9月28日(水)丸山千枚田は、紀和町丸山地区の斜面に幾重にも描かれた棚田で、日本の棚田百選にも選ばれています。 この棚田がいつ頃造成されたかは不明ですが、西暦1601年(慶長6年)にはすでに2.240枚の田があったという記録があります。しかしながら、昭和40年代半ばから始まった稲作転換対策による杉の植林や昭和50年代以降の過疎・高齢化による耕作放棄地の増加によって、平成初期には530枚までに減少してしまいました。地元住民たちは、「自分達の代でこの貴重な文化遺産を無くすわけにはいかない。素晴らしい景観と農耕文化を後世に残し伝えていかなければならない。」と立ち上がり、平成5年に丸山地区住民全員による丸山千枚田保存会を結成し、丸山千枚田の復元と保全活動が始まりました。保存会結成後4年間で810枚の田の復元に成功し、1,340枚という日本でも最大規模の枚数を誇る棚田となりました。 1枚あたりの平均面積が約10坪と大変小さい田圃ばかりですので、機械には頼らずほとんどが昔ながらの手作業で守られています。「わたくしたちは、ここに先人の英知と偉業を偲びこれを称えるとともに、千枚田に親しみ、愛しつつその保護に一層努力することを宣言し、この条例を制定する。」(熊野市丸山千枚田条例から一部抜粋)熊野市では、丸山千枚田を後世に残すために平成6年に全国初の千枚田条例が制定されており、全市民が一体となってその保護に努めています。■丸山千枚田HP■ 棚田は手間がかかる。いや、稲作自体が効率が悪い。しかし、はるか弥生の昔から、先祖が営々と作った棚田は、景観として美しい。効率をいうなら、やめた方がいいのだけれど、私たちのDNAは、それをよしとしない。こういう、非効率的なものを残すことが文化だと思う。また、水田は、鳥や昆虫などの生息地でもある。大きく考えれば、地球環境を守ることにもなる。 きっと■湖水地方■の石で積み上げた塀や石積みの家も、そんな気持ちから残されているのだろうと思う。それにしても、イギリスは、ナショナルトラストがあるから羨ましい。それは、イギリス人が自分の国の風景や文化に誇りをもっているからだろう。日本も、みんなが里山の風景に関心を持ち、里山の景観や風習を守る「里山トラスト」がもっと発展していればいいのにと思う。・・・・・・・・・・・・・ にほんブログ村・・・・・・・・・・・・