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2018.01.20
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カテゴリ:詩歌・名文

「 遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き、
香炉峰の雪は簾をかかげてこれを看る 」


(訳) 遺愛寺の鐘の音は臥したままマクラを斜めに 立てて聴き入り、
香炉峰(山)に積もっている雪は簾を巻き上げて眺めている。
イラスト付き香炉峰(こうろほう)の雪

昨年■11月22日(水)■に行った鳥取県・智頭(ちづ)の
■石谷家住宅■は【国指定重要文化財】。
その家の一番いい部屋が写真の部屋。
一緒にガイドさんの説明を聞いていた女性3人が、この部屋にはいると

「わー、御簾(みす)のある部屋!!
『香爐峰(こうろほう)の雪は簾(すだれ)をかかげてこれをみる』」と言った。

御簾のある部屋を見て、清少納言の有名な「枕草子」が出てくるなんて・・・。
私も『香炉峰の雪』は知っていたけど、とっさに出てくるなんて、この3人組の女性は、国語の先生なのかな・・・?

香炉峰の雪」と言われた清少納言が、とっさに簾を上げ、女房たちに感心されたように、
簾を見て「香炉峰の雪」と言った女性たちに私はいたく感心した。

山深い鳥取・智頭(ちづ)は、雪が沢山積もっているだろう。
枕草子:香炉峰(こうろほう)の雪

雪のいと高う降りたるを例ならず御格子(みかうし)まゐりて(参りて)、
炭櫃(すびつ)に火おこして、物語などして集まりさぶらうに、
「少納言よ、香炉峰(かうろほう)の雪いかならむ。」と仰せらるれば、
御格子上げさせて、御簾(みす)を高く上げたれば、笑はせたまふ。
人々も「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよらざりつれ。
なほ、この官の人にはさべきなめり。」と言ふ。
■現代語訳■
雪がたいそう高く降り積もっているのに、いつもと違って、御格子(みこうし)をお下ろしして、角火鉢に火を起こして、(私たち女房が)話をしながら、(中宮様のもとに)集まりお使えしていると、
(中宮様が私に呼びかけ、)
「少納言よ、香炉峰(かうろほう)の雪は、どうなってるかね。」とおっしゃるので、御格子を(ほかの女房に)上げさせて、御簾(みす)を高く(巻き)上げたところ、
(中宮様は満足して)お笑いになる

(他の女房の言うには)「(私たちも)そのようなこと(=白居易の詩のこと)は知っており、歌などにまでも詠むけれど、
(とっさには)思いつきませんでしたよ。
(あなたは)やはり、中宮様にお仕えする人として、ふさわしいようだ。」と言う。
  「 遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き、
香炉峰の雪は簾をかかげてこれを看る 」


(訳) 遺愛寺の鐘の音は臥したままマクラを斜めに 立てて聴き入り、
香炉峰(山)に積もっている雪は簾を巻き上げて眺めている。

* 「香炉峰の雪」とは
中唐の詩人、白居易の『白氏文集』に出てきます。
平安時代の貴族は広く漢詩を愛読していたのでした。
元詩
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Last updated  2018.01.20 16:34:49
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