テーマ:俳句(530)
カテゴリ:詩歌・名文
春風や鼠のなめる墨田川 小林一茶 上五を「春雨や」「長閑(のどか)さや」とする句稿もある。 墨田川の川べりに並ぶ家から慣れれだす残飯、残菓のたぐいをあさる鼠だろう。 しかしそのことはいわず、鼠が墨田川をなめていると大きくとらえたところに、江戸の春の情感が一気に溢れた。 一茶は生涯に二万句前後詠んだという多作家で、駄作も少なくないが、この句のように「奇々妙々」(江戸における一茶の後援者で、自らもすぐれた俳人だった夏目成美の評)の作がああるのはさすがだ。 朝日新聞・「折々のうた」大岡信著 ■折々のうた■ 過ぎてゆく四季の折々に自然の輝きをとらえ、愛する人を想いながら、人びとはその心を凝縮された表現にこめてうたい続けてきた。 「日本詩歌の常識づくり」を目ざす著者は、俳句・短歌から漢詩・現代詩に至るまで、日本人の心のふるさとともいうべき言葉の宝庫から秀作を選び、その豊かな光沢と香りを鑑賞する。 朝日新聞連載一年分に加筆。 ■小林一茶■ 信濃国柏原で中農の子として生まれた。15歳の時に奉公のために江戸へ出て、やがて俳諧と出会い、「一茶調」と呼ばれる独自の俳風を確立して松尾芭蕉、与謝蕪村と並ぶ江戸時代を代表する俳諧師の一人となった。 明治25年(1892年)頃から、俳句改革の旗手であった正岡子規が一茶のことを注目し始めたと考えられている。 子規が新聞日本紙上で連載していた「獺祭書屋俳話」の中で、一茶について紹介していたことが確認できる。更に子規は明治30年(1897年)刊行の「俳人一茶」の中で、 一茶の句の特徴は滑稽、風刺、慈愛の3要素にあるとして、中でも滑稽は一茶の独壇場であり、その軽妙な作風は俳句数百年の歴史の中で肩を並べる者が見当たらないと賞賛した。 一茶の有名な句。 我と来て遊べや親のない雀 一茶の親友ともいうべき夏目成美は、 「しなのの国にひとりの隠士あり。 はやくその心ざしありて、森羅万象を一椀の茶に放下し、みづから一茶と名乗り」と、一茶のことを紹介している。 このことから一茶とは、一椀の茶や泡沫のごとき人生を表す無常観に基づく命名であると考えられる。 ところで、大ヒットした「USA」という歌を歌うのは、DA PUMPのISSA(いっさ)=一茶。 「一茶」という名前は、お茶が沖縄では健康や長寿のために愛され、縁起を運ぶものとして飲まれること、求(ISSAの父)が小林一茶が好きだったことで名づけられ、兄弟は全員「茶」が付いている。 コロナ騒ぎで3月、4月と休みだった句会は、5月も休み。 ( ;∀;) 上の写真は、2月10日から3泊4日で行った東京でうつした墨田川。 ■猪のバトン受け取る鼠かな■ ■昭和のこども茶碗(ねずみ)■ ■必殺、ねずみ返し!■ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.05.01 00:12:53
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