医療というものはどんなに進歩してもある一定の不確実性を伴っています。患者さんの側からすると、自分だけは絶対に治して欲しいと考えるものですが、どんな名医がどんなに気をつけても、結果がよくないことはあるのです。
現在、インフォームドコンセントが浸透し、説明は必ずしますが、その内容は上記のような不確実性を伴っていることが大前提です。「この手術をするとこういう風に症状がよくなっておそらくは病気が治る」という説明には、「この手術をしてもまれに症状が取れず、病気が治らないこともある」という内容が含まれているのです。
赤の他人であるからこそ、上手く行くことを前提にお話ができるのですが、これが身内のこととなると、医者も人間、なかなか冷静ではいられないことが多いのです。とくに、若い頃は「もし、これがおきたら」「こんな合併症があったら・・」などと、色々と考えて悶々のします。このような不安を克服するのはただただ経験しかありません。「人事を尽くして天命を待つ」という諺がありますが、この心境にたどり着くにはやはり10年以上かかりました。それでもいまだにふと迷うことがあります。どうしても冷静になれず、余分な検査や投薬をしてしまうこともあるようです。
そう考えると、必ずしも知り合いの医師に頼むのは良いことではないかも知れません。われながら、いつになったら悟りの境地に至れるのか、と考えるのでした。
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最終更新日
2007.09.20 01:24:39
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