臨床の現場より

　入院したり、手術をすると、ある程度お金がかかります。最近は医療特約の付いた生命保険に加入されている患者さんが多く、我々医師は、しばしば患者さんの退院後にこの保険のための記入が求められます。どこの会社の書類も似たり寄ったりですが、微妙な違いもあり、要するに各会社が勝手に決めたフォーマットに対して書き込んでいくわけですが、ここ数年、この書類の量が膨大になってきています。
　何しろお金が絡むものですから、いい加減な記載は許されないということで、カルテを起こして、何月何日に受診して、手術はいつ、病名、手術名、簡単な経過、紹介元、などなど・・・慣れたとはいえ、一通書くのにやはり10分以上はかかります。head&neckだけなのか、他の医師もそうなのかは知りませんが、大事なことと判っていながら、やっぱりこういう仕事にはやや苦痛を覚えます。診療や手術だと後回しにはしませんが、書類から目をそらしたりして、ついつい溜めてしまったりして、10通以上になるともう大変です。１通10分でも、10通なら100分！机の前から動けません。病棟や外来の合間では10分の時間さえまともにとれませんから、結局一通り仕事が落ち着いた夕方や夜間に行うことになるのです。
　だいたい、head&neckの科は週に平均20件の手術をやっていますから、毎週20通以上の保険書類がくる計算になりますね。これが多いか少ないかはさておき、このあたりの仕事を代行してくれるコメディカルがいるととっても助かるのにな・・と思うのでした。