臨床の現場より

　本日は当直です。・・といってもさっき予定手術が終了したばかりです。
　head&neckの部下の一人、Ｓ先生は今年めでたく耳鼻咽喉科の専門医試験に合格しました。こういっては何ですが、彼のキャリアの過半を同じ職場で教えながら過ごしたので、もっとも手塩にかけて育てた部下です。研修医の頃は若さ故か大食漢だった彼も２年前に結婚し、子供ができて３０代になりましたが、少しずつ食事の量が人並みになってきたようです。
　一から教えて、現在ではかなり高度なことまでこなせるようになって頼れる医師に成長していますが、head&neckは一緒に手術していると昔の癖でつい口がでて指導口調になってしまいます。そんなとき、彼は嫌な顔ひとつせずに、「わかりました」「はい」と素直な相づちをうって、手術全般の流れをスムーズにすることを心がけているようですが、後になってよく考えると、head&neckがこうしろああしろと言うことの大半はすでに彼がマスターしたことばかり。これが自分なら、「わかってます」とか「大丈夫ですよ」とか、生意気な台詞がでるところです。彼の人柄の良さと、上司への気遣いを感じます。
　そんな彼が苦手なのは書類です。医者というのは存外書類仕事の多い職業で、診断書、紹介状やその返事、説明書、同意書、サマリーと次から次へと溜まってきます。先日、ついにＳ先生の溜めた書類は院内ベスト5にランクインしました。
　えこひいきはいかんなと思いながら、ついつい当直のときなぞ、こっそり彼の書類を片付けてあげるhead&neckなのでした。