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臨床の現場より

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カテゴリ:こんな医者います
 head&neckの周りでも勤務医を辞めて開業(つまり、街で自分のクリニックを開くこと)をした医師はたくさんいます。最近もまた一人、総合病院の医長をされていた先輩が開業しました。
 商売にたとえるならば、勤務医はサラリーマン、開業医は自営業です。ただ、医師の世界は商売と違っていきなり開業することは事実上不可能です。医学部を出たての医師は、教科書のみの知識があるだけで、注射一つ満足にできませんから、それなりの経験値を蓄積しなければ恐ろしくて患者を診ることはできません。
 勤務医の時は評判の良い先生も、開業すると、医師としてだけでなく雇用主としての自覚を持たなければいけないので、大変だと思います。勤務医時代にはあまり考えなかった、コメディカルの方々に対する態度や、診療点数、診療時間、待ち時間等に気を配らなければいけなくなってきます。高級料理店のサービスとファーストフード店のサービスに、質の違いがあるように、周りから求められるものが違ってくるのです。このあたりの切り替えが上手な先生と、下手な先生がいるようで、素早く思考回路を転換した医師のクリニックには従業員も長く居つき、雰囲気はよくなっていきますが、いつまでも病院にいたときのスタンスに固執する先生の所からは徐々に従業員が去ってゆくようです。
 
 A先生はもと大学の講師で、2年にわたりアメリカに留学し、博士号もあり、長く医局長をつとめた評判の良い先生でした。数年前、「家族との時間を作るため」と医局に告げて開業に踏み切りました。人気のA先生のこと、大学でもひっぱりだこの看護師さんや、外勤先で優秀な技師さんに声をかけ、万全のスタッフを揃えて開院。患者の数は最初から多数、さらにどんどん増加して行きます。ところが、「患者さん第一」を重視しすぎて、従業員の休みは極端に短くなっていきます。おまけに、大学病院や研究生活が長かったせいもあって、コメディカルに求める医療水準が極端に高く、時に小手術も行い、かなりのことまで自分のところでやろうとしているせいか、スタッフはへとへとです。そのわりに給料のことは会計士さんにまかせっきりで、周りは自分たちの努力が給与に反映されないと不満が高まります。しかし、もと講師で医局長のA先生に正面きって苦言を呈する人はいません。開業するときに小手術をしようと高額な機器を導入したせいもあり、なんとなく人件費を低く抑えたいA先生は何もいわない従業員はそれなりに高度な医療を提供する自分のクリニックに満足し、従業員も自分と同じく、誇りをもっていると思っているようです。ところが、開院して2年後、待遇の悪さに耐えかねた従業員が集団退職しました。ノウハウを蓄積していた看護師、技師を失ったA先生は必死で後任を探しますが、悪待遇は近辺の医療関係者に知れ渡っており、誰も来てくれません。そうこうしているうちに患者はどんどん減ってゆきます。途方にくれているA先生です。

 B先生も、もと大学の医局長でした。研究を嫌い、手術と臨床に20年以上浸りきって体を壊し、限界を感じて開業しました。「やるだけやった」あとにクリニックを開いたB先生、必要以上の医療機器はそろえず、最低限の設備でスタート。自分が体を壊した経験から、従業員の待遇や職場の環境に気を使います。手術が必要ならすぐ病院に送る。5時には受付を終了し6時には従業員を帰し自分も帰宅する。借金返済は無理のない計画を組み、ほかのクリニックよりやや色をつけた給料と待遇を心がけています。当初はそれほどでもなかった患者数も徐々に増え、従業員には無理をさせないせいか、誰かが産休などで休みをとってもすぐにパートの希望者が来ます。近くの大病院にはあれこれと気を使い新年会の費用を持ってあげたり、患者を紹介するときは必ず直接電話をかけます。患者さんもその辺はよく知っていて、「あそこへいけば、危なければすぐに病院に送ってくれる」と評判なようで、近辺の人は、まずはB先生の所に受診してみようという雰囲気ができています。

 どちらの先生も、医師としてはかなり優秀な部類に入ります。ところが、上に述べたような差がでるのが開業医の世界です。そして、いったん自分の医院が立ち行かなくなると、救いようがありません。
 開業医も楽ではないと思うのでした。





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最終更新日  2007.12.23 02:05:48
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