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カテゴリ:こんな医者います
N先生は、異色の経歴の持ち主です。
年齢はhead&neckより一つ上ですが、学年は3つ下になります。というのは、一旦大学を卒業してから医学部に入りなおして医師になったため、通常よりも遠回りをしているのです。卒業後、関東の大学の耳鼻科の医局に入り研修をしていましたが、その医局の教授選に敗れた先生が医局を去るとき、一緒に医局を飛び出して市中病院に就職し、派遣でもって当院にやってきたという次第です。 都会の病院ではよくあることですが、貴重な症例や手術はすべて上級医がやってしまい、下の人間はただ見ているだけ、そういった環境でも腐らずにたゆまぬ勉学をしてきているのか、知識は該博で、head&neckよりも物知りです。うちの病院に来たのは、ただただ手術の腕を磨きたいためだとのこと。何しろ週に20件以上手術のあるようなところですから、この一年でずいぶん上手になりました。 とはいえ、手技をやらせてもらっていないハンデは厳しいものです。年数で言えば自分より5年、年齢で言えば9つも下のS先生に教わりながら手術をしています。 S先生「先生、ここはつまんじゃ駄目です」 N先生「あっ、そうか。ごめんごめん」 ・・といった3秒後、また同じところをつまんでいる S先生「先生、そこは駄目なんです」 N先生「あっ、そうだった。ごめんごめん」 ・・・その1分後 S先生「先生、だからそこは駄目なんです」 N先生「あっ、またやっちまった。ごめんごめん」 こんなことを繰り返しつつも、N先生はちっとも気分を害しません。普通は10年選手になると、キャリアが逆に邪魔をして、なかなかまわりに教えてもらえなくなって苦労することが多いのですが、N先生のものにこだわらない素直な性格が幸いして、ついつい皆でよってたかって指導をしています。 N先生を見ていると、いくつになっても、人間成長が必要で、成長するためにはそれにふさわしい人格が不可欠だと感じるhead&neckなのでした。 ←参加してます・・一日一回ポチっと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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