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カテゴリ:こんな医者います
head&neckの病院に、20年に渡って非常勤で外来、手術をしにきているのがS教授です。S教授は耳鼻科ではなく形成外科の手術の名手です。
もともと、耳鼻咽喉科というのは境界領域の多い科で、医療の発展、多様化に伴って、昔は耳鼻科で扱っていた疾患が徐々に形成外科担当になっていった分野も多いのです。例えば口唇口蓋裂や耳介奇形、顔面奇形などもそうです。更には、頭頚部外科の発展で再建手術がどうしても必要になり、形成外科にお世話になることも多く、我々にとっては非常にかかわりの深い科でもあります。 S教授の手術は、芸術です。通常の医師ならば作図してから取り掛かる口唇裂も、S教授はおもむろに切開し始めます。そして、出来上がりはエクセレントです。再建もすばやく、顕微鏡下の血管吻合も超一流で、形成外科分野のオールマイティープレーヤーです。なんでも、日本中で手術をしておられるそうで、行ったことのない地域は無いそうです。 もうすぐ60歳ですが、外来やオペ室で見る姿は背筋が伸びて颯爽としており、ロマンスグレー一歩手前の若々しい風貌なので、小さいお子さんのお母さんなどにはS教授ファンが大量におり、我々から見ても憧れの的です。 手術が終わると、皆で飲みに行きます。 ・・・飲み会でのS教授は、さっきまでのダンディーさが見事に吹っ飛ぶ豹変をきたします。志村けん扮する酔っ払いおやじとそっくりのべろんべろん状態となり、のどちんこが見えるほど大口を開けて笑い、呂律は回らなくなり、最後は代行運転を頼んで千鳥足で車に乗り込んで帰ります。 最初は激しいギャップにびっくりしました。いつも別れるときはぐてんぐてんの状態なので、それが印象に残っていますが、次に会うときはいつもの颯爽とした姿で病院に現れるS教授は、やっぱり偉大な先生なのでした。 ←なかなかランクが上がらないながらも参加中。一日一回クリックを。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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