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カテゴリ:こんな医者います
M先生はうちの病院の耳手術専門部長と、同系列の姉妹病院の副院長を兼ねています。
耳鼻科の手技は、大きく耳の手術と、頸部の手術に分かれます。耳の手術は名人芸の部類に属し、それだけに耳鼻科の中でも耳科手術だけを専門にする先生も多いのです。 もともと、head&neckの医局にいたのですが、15年も前に関東の大学病院に移り、長く耳の手術を専門に研鑽され、助教授までされていました。大学人事や医療以外の事務処理が苦手なM先生は、50歳を超えたのをしおに、好きな手術だけに専念できる環境を求めて、古巣に舞い戻ってきたのです。 もうすぐ60歳になるM先生は、少し猫背で、笑顔がかわゆく、病棟ではナースたちに「じいじ」の愛称で慕われています。電子カルテは大の苦手、パソコンも機械もだめなアナログ世代のお医者さんを彷彿とさせます。お酒の席は大好きですが、head&neckと同じくらい酒に弱く、ビール半分も飲むとまぶたが下がって居眠りを始めます。 手術室では、別人のようなきらめきを放ちます。耳科手術はモニター画面を通して周りで見れるのですが、通常ではとても考えられないスピードで的確に術野が展開されます。単純に耳科手術件数だけで比較しても日本中で5指に入る存在であることを思い知らされます。 手術が終わると、じいじは若い連中と食事に行きます。焼肉が大好きなのですが、最近は尿酸値が上がって家で肉を出してくれないということですが、結局は外食で通常以上に食べてしまっているようです。眠そうな目をしながら気前よく研修医の分も支払いをするじいじは、長い医師生活のなかで、今が一番充実しているそうです。 じいじをみていると、head&neckも長く現役で手術を続けたいと思うのでした。 ←50位以下に下降しつつ参加中。一日一回クリックを。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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