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臨床の現場より

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カテゴリ:こんな医者います
 近頃EBM(=Evidence Based Medicine)という考え方が医療現場を席巻しています。以前にもこのブログで、エビデンスについての考えというエントリーを書きましたが、データと証拠に裏付けられた治療法を選択するという考え方をEBMといいます。一般的にはエビデンスとだけ略して話されることが多いようです。論拠がはっきりしていますので、議論をするには強い味方になることは間違いありません。しかし、head&neckはこれを振りかざす医師は好きではありません。一言でいうと、エビデンスマニアの理論展開は「机上の空論」が多いのです。
 例えば、耳鼻科には一般的に4~5歳の小児に対して行う手術で「扁桃摘出、アデノイド切除術」というものがあります。適応は、
1.繰り返す扁桃腺炎
2.睡眠時のいびき、無呼吸をきたすほどの肥大
です。普通は、患者さんが受診するとそれまでのエピソードを聞いて、ああ、これは適応があるなとか、これはまだ手術しなくて済むな、とか決めるわけです。術後は一度外来受診してもらって、「いびきがなくなりました」とか、「呼吸が楽そうです」とか、時にはしばらくしてから来院された子供の母親から、「熱を出さなくなりました」とかいった経過を聞いて、手術の適応や効果を経験してゆくわけです。何十年も前からそうやって耳鼻科医はこの手術の効能を肌で感じています。
 ところが、エビデンスマニアにかかると、上に述べた臨床経過には突っ込みどころ満載です。何しろ、データに基づいた医療以外は間違いと考えているわけで、手術のまえに適応についての評価が不可欠です。従って、扁桃腺とアデノイドの肥大が目で見て判っても、自分の目を信用しません。術前にアプノモニターという終夜のモニター検査をしてデーターをとり、夜間の無呼吸があれば初めて手術に踏み切ります。術後は、再度同じ検査をして改善したかどうか確かめます。ところがこのアプノモニター、体中にたくさんの器械をつけて睡眠をとるので、4~5歳の子供におとなしく一晩中つけていられるわけもありません。半数はデーターが中途で途切れてしまい、使い物にならないのです。しかし、ドクターエビデンスはあきらめません。きちんとしたデーターが取れるまで何度でも検査を繰り返します。どうしても検査結果が正確に取れない患児の手術は拒否。そうやって、通常の経過の何倍もの検査費用と負担を患児と親に強いて集めたデーターを集計し、どうだといわんばかりの学会発表を行うのです。脱落症例について述べた論文は、どの科のエビデンスモンスターも出したがりません。こういった方法論に違和感を覚えているのはhead&neckだけではないような気がします。

 この日記も連作にします。次回に続くのでした。


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最終更新日  2008.04.21 23:49:24
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