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カテゴリ:医療報道
久々に新聞記事からの抜粋です。
「問題は医師不足」厚労相 妊婦死亡で全国調査も 墨東病院幹部を自ら聴取 08/10/24 記事:共同通信社 東京都立墨東病院など複数の病院で受け入れを断られた妊婦(36)が亡くなった問題で、舛添要一厚生労働相が24日午前、墨田区にある墨東病院を訪れ、小林剛(こばやし・たけし)院長ら病院幹部から事情を聴いた。厚労相が、現場となった医療機関に自ら足を運んで調査するのは極めて異例。 聴取後、舛添厚労相は記者団に「一番構造的な問題は医師不足だ」と指摘。全国に74カ所ある総合周産期母子医療センターについても現状を調査し、改善を検討する考えを示した。 調査事項は産科医らのスタッフ数や当直態勢などとし、そのうえで、医師不足解決のためには「開業医など、地域の人材を総動員するしかない」と述べた。 これに先立ち、舛添厚労相は、同日の閣議後記者会見で「(妊婦の死亡を)一部報道で知った。どうなっているのか」と、都から報告がなかったことを取り上げ、不快感を示した。都からも経緯を聴くとした。 厚労省は今後、妊婦の受け入れを断った慶応大病院(新宿区)、日赤医療センター(渋谷区)などに対し、事実関係を検証するため国として聞き取り調査する。 当時の当直医の数や、搬送を依頼した妊婦のかかりつけ医院とのやりとりの内容などを確認し、国としての必要な対策を講じる方針。 ▽東京の妊婦死亡問題 東京の妊婦死亡問題 体調不良を訴えた東京都内の妊婦(36)が4日、都立墨東病院など8病院に診療を拒否され、最終的に搬送された墨東病院で出産後、脳内出血の手術を受け、3日後に死亡した。赤ちゃんは無事。墨東病院は都指定の総合周産期母子医療センターだが、4日の当直は研修医の1人態勢だったことが判明。同病院と都は「当初は脳内出血と分からなかった。判断は妥当」と主張した。受け入れを依頼したかかりつけ医院は「頭痛を訴えていると伝えた」と説明、頭部疾患をめぐる認識が食い違っている。 いまだに一部マスコミが「たらい回し」「受け入れ拒否」という医療関係者の神経を逆撫でする言葉でもって報道しているニュースです。さすがに近頃の現状を受けて、責任を現場のみに押し付ける論調は減ってきてはいますが、それでも上のように現場レベルでの混乱をわざわざ注釈気味に出すところがマスコミの認識不足を物語っています。あちこちで話題になっているこのニュースの本質を見失わないように、今回の出来事の問題点を医療者側の視点から整頓してみましょう。 1.医師不足 2.公立病院の当直体制の不備 3.上記2つの問題に対する国と自治体の連携の無さ 1については、当の舛添厚労相がはっきりと語っています。色んな所で明らかになっていますが、首都である東京でさえこのざまなのですから、地方は言うに及びませんね。日本全国どこでも医師はたりません。 2ですが、今回の一連の動きでhead&neckが最も気になった部分です。公立病院の上層部や官僚系事務の腐敗っぷりは目に余るものがありますが、ここに焦点を当てて掘り下げた報道はお目にかかれませんでした。病院の管理者が未だに労働基準法を無視する当直体制を敷いていることを許している事自体が現状に対する認識の甘さとして感じられます。他のニュース番組で、舛添厚労相が墨東病院に視察に行く時に雁首そろえて迎えに出ている映像を目にしましたが、まるで見回りに来た親分を迎える舎弟のように見えて情けない印象を受けました。公立病院であるからには仕方がないのでしょうが、現場の人間としては「こっちは目一杯やってるんですよ」と、恨み言の一つでも言ってやりたい気分なのです。 3に関しては、都知事と大臣のやりとりが取りざたされています。舛添厚労相の動きはこれまでの大臣とは違い、アクティブで個人的には評価しています。これだけ足を使って動いているところも、都知事や財務省に正面きってクレームをつけるところもなかなか出来ないことです。しかし、官僚レベルでは軽く受け流されているようで、結局のところ国と自治体で医療をとりまく連携をとる動きは出ることがありません。医療現場を適正な労働条件にもってゆくためには医療現場の過酷な勤務状態を浮き彫りにせねばならず、それを監督する自治体や国の担当部署に責任が生じるので、手をつけなくないのが本音なのではないでしょうか。 現場の疲労がお上に届くのにどれだけ犠牲がでるのか、不安になるのでした。 ←30位をいったりきたり。一日一回のぽちを。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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