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カテゴリ:物語
①
核兵器の会議に意味があるのだろうか、まったくのところわからない。 ある核兵器のつぶやきを聞いてみよう。誰かの詩をまねしているみたいだが。 人々のののしりにもマケズ 権力のおどしにもマケズ 存在を否定されてもオコラズ それすら忘れられてもナゲカズ 出しゃばることもナク 晴れやかなパレードに参加することもナク 力を誇示することもナク 地球を支配していることだけは、忘れることナク いつも静かに沈黙してイル そういう核兵器にわたしはナリタイ ということで、会議らしいものが始まるのである。 議長はCである。 C:全員参加の確認が取れましたので会議を始めます。 F:何回目になるのかしら。 R:何回目って、そんなのわかるか、数えてないだろ。オリンピックみたいに4年に1回って決まっている わけでもないし。 E:オリンピックといえば延期になったのね。 I:そうなんだ。新型コロナウイルスとかのせいだって。 F:戦争でなくてもオリンピックが中止になるの。 P:めずらしいこともあるものだね。 I:世界中の人間が何十万も死んでいるそうだ。 K:すごい兵器じゃないの。あたいたちより強力。 C:それは兵器ではない。 K:兵器でなくてそんなに人を殺せるの。信じられない。 E:病気。伝染病よ、昔もすごく人が死んだことがあったのよ。 I:目に見えないで人間から人間へと広まっていく。ひとの体の中に入って、弱らして死に至らしめる。 K:すごいね、そんな殺傷力があって、なんで兵器じゃないの。 E:兵器じやなくて病気て言ったでしょ。 K:兵器と病気なにが違うの、殺すということには変わりないでしょ。 A:兵器は有機物も無機物も殺す、病気は有機物だけを殺す。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.03.14 14:23:54
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