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2021.08.20
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カテゴリ:物語
3-24
 先ほどの町内会の理事が、理事長とひざを突き合わせて話し合っている。みんなにはロボットを捕獲するなんてとんでもないと言ったが、このままにしておいても問題になるのではないかということである。だいたいロボットが一人で住んでいたというのも前代未聞の話である。とにかく警察に報告をしなくてはということになった。
 理事長に家主の管理会社の社員を加えた三人で、警察に出向き今までのいきさつを話したのである。警察もロボットが一人で許可もなく歩き回るのは法律違反、すぐに各方面に捕獲するように通達をだし、市民には危険であるから近づかないようということである。ミマナのあの大きな顔の手配写真が各所に電波伝達された。ミマナはこうして指名手配ロボット1号になった。

 お尋ね者になったとは知らないで、ミマナは人の少ない方に向かっているのである。
 試しにこの顔で、他人に道を聞いてみたり、じっとひとの顔を見つめてみたりしたが、顔をしかめられるか、無視されるか、若い女の子の集団なんかこの顔を見るとプゥーと笑い、少し離れてケラケラと転がるように笑うのである。マリエも笑うだろうか。
 この顔は失敗作だ。どんな顔がいいのだろう。どうして人間は、顔の形や表情といった細かいとこにこだわるのだろう。それがなければ簡単なのだが。

 ミマナは廃線になった線路の上を夜歩いて、昼は橋梁の隙間に身を隠し、顔を変えるための方法を模索した。そんなミマナを警察の有人ドローンが見つけるのにそう時間はかからなかった。
(対象ロボットを発見した)
(身柄を拘束せよ)
(了解、液体窒素を使用許可願います)
(まず人間でないことを確認、それから使用すること)
 ロボットに液体窒素噴射して、凍結ささせてAIが機能しないようにしてしまおうということである。
 ドローンは高度を下げてミマナの頭上を旋回して、ミマナに呼びかける。
「そこのロボット止まりなさい」
 ミマナはその声を無視して逃げる。
 人間反応なし。
 ドローンからミマナに向けて液体窒素が噴射される。ミマナは急激に温度を奪われ機能不全になる。仮死状態である。
(作業完了、個体を収拾します)
(了解)
(収拾完了、撤収します)
(了解)
 動かなくなったミマナを回収し、ベルトで固定をして、ドローンは飛びあがった。地上の線路が小さくなっていく、向きを変えて基地に向かう。
(ロボットの個体回収、基地に戻ります)
 無謀ロボットの回収作業はマニュアル通り完璧であるように思われたが、誤算があった。

(つづく)





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最終更新日  2021.08.20 08:23:12
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