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カテゴリ:物語
3-32
「ロボットの体めがけて、ロープの輪っかを落としてるわ」とピーチアップル。 「足に絡ませて倒そうとしているんだな」 ドローンは低空飛行をして、輪っかを投げ落とす。投げているのはヒト型でないロボット。それを攻撃されているロボットはぴょんぴょん跳ねながらよけている。 「輪投げみたいだけど、なかなかはいらないね」 ピーチアップルが笑いながら言った。 ジジイが楽しそうにロボットの体を動かして、輪っかをかわしている。うまく入ったとしても引っ張られる前にはねて、抜けてしまっている。 「なにしているんだ。バカな攻撃はやめさせろ、まったく人間の考えることはろくでもない」 警察の部長は赤ら顔をさらに赤くして怒鳴っている。 「あのロボットは二足歩行しているわけでなく、飛び跳ねているだけではないか、あんなことをしても倒れるわけがない、攻撃はやめさせて待機、逃げないように見張らせろ、人間はだめだ。ロボットはロボットにまかせろ」 ロボットがワイヤーロープを拾って、低空飛行してきたドローンに投げつける。ロープはプロペラにからまってドローンはあえなく墜落した。 「なにやっているの」 ジジイの隠れ研究所の部屋に入ってきたのは、パーシモンという女の子、こちらはピーチアップルと違って若い、まだ少女。少女といってもこの時代何歳までを少女と呼ぶのかわからない。歳は一年ごとに取るとはかぎらないのである。 ふたりが熱心に見ている画面を後ろから覗き込む。 「ゲームしてるの」 「まーね」 「輪っかを投げてドローンを落とすゲーム、わたしにもやらせて」 パーシモンは二人の間に細い体をねじこんできた。 ピーチアップルが割り込まないでよと、お尻を振って阻止しようとしたが、そんなのおかまいなしである。 「このロボットけっこう跳ねるのね、わー、10mも跳ねるじゃないの」 パーシモンは体をリズミカルに動かしながら面白そうにロボットを操った。こういう操作にはなれているのだろう。 「では、ドローンに飛びついて揺さぶって落としてやる」 ロボットに飛びつかれたドローンは重心を失って落ちていった。 「つぎはどいつだ」 しかし、ロボットの周辺にいたドローンは遠ざかっていく。 「なーんだ、もう逃げるのか、あそこに人間がいるじゃない、あいつも仲間か」 私服刑事が右往左往している。 「逃がすか」 ロボットが刑事に迫りくる。刑事は振り向きざまに拳銃を取り出し、ロボットめがけて一発、二発。金属音はしたが、びくともしない。 「おいパーシモンやめろ、これはゲームではない」 「さっきゲームて言ったじゃない」 「ロボットが人間を傷つけちゃいかん、おまえもそれはわかるだろ」 「デカ長さん、早くこちらに隠れてください。すぐにロボット処理の専門部隊が来ます。指揮権はそちらに移ります。それまでわたしに指揮します。本部の命令です。ご苦労さん」 隊のリーダが言った。 「お前、おれを笑ったな」 「そんなことありませんよ、ロボットに拳銃を向けたって人間と違って怖がりませんよ、おとなしくなんかなりません、逮捕できません、仕方のないことです。ここは専門部隊に任せましょ」 刑事はここからでも、一発かましてやりたいと思ったが、顔をしかめて黙ってしまった。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.02 06:25:57
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