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カテゴリ:物語
3-33
「本気の部隊がきたか」 ヘリコプターからロボットが3体降りてきた。 「今度はあれと戦うの」 「いやあれにはかなわないよ。パーシモンどきな」 「あれは人間型ロボットでしょ、e-sportsみたいに闘うのじゃないの」 ジジイは顔のしわの奥の目を細くしてパーシモンを見つめた。 「これはe-SPORTSではない、少し考えがあってやっただけ、もうおしまい」 「人間型ロボット同士で戦えばいいのに」 浅黒い顔のパーシモンは口をとがらせ不満そうにそこから退いた。 ミマナのロボットはその場でぴょんぴょん飛び跳ねていた。 (取り押さえようか) (まて、まずはこのロボットを動かしている電波の出所を突き止めるんだ) これは警察ロボットの会話。 (カメラの取り付けられている位置は分かった。遠隔で動かしている電波の周波数を特定する) (ロボットの方はX線でのぞいてみよう) ミマナロボットは、今は動かなくないで、じっとたっていた。 (なんだこのロボットは中身はほぼ空っぽではないか、足の部分にスプリングが仕込まれているだけで手はぶらぶらだ、AIもお尻の上に小さなものがあるだけ、とても情報管理センターの優秀なロボットとは見えないな) (とにかくロボットの身柄拘束だな) とつぜん、ジジイの小屋の上に取り付けられているカメラから火が出た。ジジイが発火させたのである。それを合図にミマナロボットはまたぴょんぴょん飛び跳ねはじめた。 (仕掛けてきたな、ロボットを取り押さえてやる) ロボットの一体がミマナロボットにとびかかった。 (危ない、離れた方がいい、そのロボットには爆弾が仕込まれている) ミマナロボットの内部を見ていたロボットが言った。とびかかろうとしたロボットは自制した。 (自爆する危険がある) ミマナロボットは狂ったようにより高く飛び跳ねていた。 工場の人間たちが遠巻きにその光景を見ていた。 やがて、ミマナロボットはジジイの小屋の上に落ちて爆発した。小屋は真っ黒な煙を上げて燃えた。警察ロボットは火を消すのに躍起となった。工場の方に飛び火しては大変だと工場の人間も消火に当った。 鎮火した焼け跡からミマナロボットは見つかったが、それはもうロボットでもなく、ましてやミマナではありえない、金属の残骸であった。 「ゲームオーバーだ」 ジジイは消えている画面を見ながらつぶやいた。 「これからは、この残ったAIを使ってロボットを作らないとな」 「これでロボットをつくるの」 「そうさ、こいつはもともといい女ロボットだったんだ。それに戻してやらないとな」 そういいながら、ジジイはパーシモンのお尻を触った。 パーシモンはキーとにらんで、ニューと笑った。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.03 17:58:13
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