わたしのブログ

⑮
・・・俺は夢を見ている。いったいヘビという生きものは夢を見るのだろうか。まあストーリーの言い訳をするのには、夢を見ていることにするのは便利な手段である。・・・

・・・夢の中・・・
・・・そこにいるのはgodですね。だれも姿を見たことがないというけれど、俺にはわかりますよ。体に毛のないものがedenの主になれるのですね。evaには毛影があった。それをほかの生きものの皮で隠していた。だからやつは失格ですね。俺は毛がありませんよ、脱皮したってないですよ。だから俺がedenの主ですよね。俺は立派な主になりますから、その証に翼をください。あいつ、samaelより上等なものをお願いします。あいつは堕天使なんでしょ。engelの下っ端、俺はedenの主、当然あいつより上ですよね。
　うわ、俺の体に羽根が生えた。俺がやっぱりedenの主だ。ありがとうgod。これで空を飛ぶことができるぞ。
　よし飛んでみるか、あれ羽根が重たくて飛べないよ、god飛び方を教えてくださいよ。何かコツがあるのでしょ、黙ってないで、ケチしないで教えてよ。これじゃ這いつくばっても前に進めないよ。ヘビの生殺しではないですか、意味が違うけど。
　god、私は智恵の実をevaに食べさせなかった。なぜそんんなに怒っているのですか。夢の中、いつの間にか俺がsamaelに変わっている。
　私は役目を果たした。腰のものを落としたのはあの女の不注意、わたしのせいではありません。

　（女はわたしの命にそむいた）

evaは食べてはいない。あなたの命に背いたわけではないのです。

　（おまえはヘビを使って、evaがあの実を取るように仕向けた）

　私はsnakeにもedenの主になるチャンスがあると言っただけです。体に毛のないものが主になれると教えてやったのです。実際そうでしょ、あなたはひとが毛影を隠していることを知った。しかしそれが重要な意味を持つことに気付かなかった。全知全能の神であるあなたは性別を超えた存在だから、人間の女と男から生まれた「ヲコ幻想」というものを理解できなかった。しかしそれを理解したときあなたは戦慄した。
　あなたの持つ命より、人間の持つ「ヲコ幻想」のほうが力があるのではないかと。そうであるならばこの星に理想の楽園が創れない。それならばいっそのこと、水に沈めてしまえと思われた。

（だまれsamael、おまえが居眠りして水を入れすぎて、大地を半分以下にしたのではないか）

　そうではない、あなたの気が途中で変わったのでしょ。この星を水に沈めたところで、失敗は失敗い。神界であなたの地位と信用を失うことになる。だから計画を変更して、実験的にこのedenに楽園を創ろうとした。

（samael黙れ、楽園を創るというわたしの計画を台無しにしたのはおまえだ）

・・・夢の中で、godとsamaelの言い争いを聞いている俺。・・・

　わかっていますよ、わたしが退屈まぎれにsnakeをそそのかしてやった。だって智恵の木の番人なんて暇ではないですか。人間がこの地を治める。それを毛のないものとしてsnakeがその気になるように仕向けたというわけです。

・・・やっぱり俺をだましていたのか。体に毛のないものがedenの主になれるというのはうそなんだ。・・・

　god、あなたは階級を作るのが好きだ。天にあるengelも階級社会だ。私はエリート競争に負けた。堕天使だ。あなたは地上のedenでも、階級社会を作ろうとした。人間、ペット、家畜と並べて、snakeはゴキブリらと同じ最下位。
　私はsnakeが天辺取れると思えるように仕向けた。もしそういう階級社会ができたら面白いではないですか。

・・・俺は頭にきた。羽根を広げたり閉じたりしながら、とくいげに喋っているこいつの首を絞めてやろうかと思った。・・・

（まったく余計なことをしてくれたものだ。神の千年計画を台無しにした。samaelわたしは君の心が読めた。私に代わってこのedenを支配しようと考えているな）

　わたしを見張り番ではなく、代官にしてくれるというのですか。

（だれがそんなことを言う）

　ですよね。人間の持っている「ヲコ幻想」を理解するものでないとedenは支配できないですよ。「ヲコ幻想」は本能から出て本能に帰れない。考えようによってはあなたと同じような存在なのかもしれませんね。

（生意気なことを言うな。）

　また怒りましたね。そんなパワハラはもう時代遅れですよ。
　あなたも「ヲコ幻想」と同じように幻想なんですよ。時間や空間といっしょ、それ自体では存在しない。なにかによって存在が確認されるだけのもの。

（おまえはもうわたしの身内ではない、satanだ）

・・・samaelの背後に回る俺。
　こいつの首を絞めて、殺してやる。そうすればgodは俺をedenの主にしてくれるだろうか。・・・

　あなたは自分の都合が悪くなれば、そういったレッテルを貼って貶める。わたしはsa……う……。

・・・俺はsamaelの首に体を巻きつけて、思い切り締めた。
　う……苦しい。・・・

・・・俺は目が覚めた。とぐろを巻いた体が自分の首を絞めていた。う……俺は首を振りながらぜいぜい息をした。やっと体の力が抜けた。・・・