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カテゴリ:物語
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(kaeru) おう、舌を使ってつっかえ棒を倒す気か、そうはさせない。その長い舌に投げ縄を放り投げてやる。おっと危ない、思ったよりも舌は伸びるな、体に巻きつけられたら大変だ。 どうにかうまく舌をからめ捕れた。こうして引っ張って使えないようにしてやる。 kamekouぼさっとしていないで木をどんどん口の中に放りこめ、こうすれば口は完全に使えないだろう。どうだ何とか言ってみろ。といっても言えないだろう。これがほんとのぐうの音も出ないというやつだ。 (snake) うぐ、うぐ ・・・このkaeru俺を殺そうとしているのか。カエルに睨まれたヘビなんて、洒落にもならない。・・・ (kaeru) お、泣いているのか、snakeの目にも涙か。kamekouこっちへ来て見てみろ、こいつ泣いていやがるぜ。それにしても立派な牙だろ。こんなのに嚙まれたらいちころさ、おいらもおまえもひとたまりもない。おいらなんかいつもこの恐怖にさらされているんだ。 さあ、手術するとするか。 ・・・何をする気だ、木に火をつけて俺の口を火事にするつもりか、やめてくれ。・・・ (kaeru) そんなに大きく目を開けて情けない顔しなさんな。 その邪魔な牙を抜てやるのさ。 ・・・そんな無茶をするな。俺は牙がないと生きていけない。・・・ (kaeru) それがなくなるとお前さんは生きていけないと思っただろ。それがあるとおいらたちが生きた心地がしないんだ。これから一緒に暮らすのだから、こんなものはないほうがいいんだ。 まあ大手術になるから覚悟しておくのだな。 今準備するからな。 ・・・手術というけれどkaeruお前外科の免許はあるのか・・・ (kaeru) この棒で牙をどつくと痛いだろ。 ・・・いてて、痛いに決まってるだろ。・・・ (kaeru) 痛かったら暴れろ、暴れろ、もっと暴れろ。暴れて尻尾をばたばたさせろ。そうすると尻尾と牙を草ひもで結んであるから、牙がぐらつく。ほら痛いだろ、もっと悶えろ。 ・・・俺が抵抗できないと思って、kaeruの奴、金属バットで殴るように俺の牙をどつきやがる。痛い、痛いよ。俺は思わず尻尾を振ってしまう。それが牙に力として加わり激痛になる。・・・ (kaeru) snakeさん頑張って、自分の力で牙を抜くのだよ。snakeさんの尻尾は強力だから大木も引き倒すというではないですか、こんな牙を引き抜くのは簡単でしょ、もっと暴れて尻尾に力を入れて、そうそうそうだ。kamekou見てごらん牙がだんだん浮いてきたよ。あ、口から泡吹いている、snakeさん気を失てはだめですよ。そうならないように頭をどついてあげる、痛さが分散されていい具合でしょ。 snakeもう少しで楽になるよ、もっと尻尾を振って。 ・・・うおー痛い俺は暴れるしかないのか、くおー。・・・ (kaeru) おう、かなりぐらついてきた。もう抜けるよ、kamekouさん、にかわ持ってきて。 (kamekou) 承知の助だす。 (kaeru) あ、右の牙が抜けたぞ、kamekouさん早く。 (kamekou) へい、へい。 (kaeru) こいつを抜けた穴に詰めて、止血しなくてはな、血がこぼれて部屋が汚れてしまう。 おお、もう一本も抜けそうだ。いいぞ。 ・・・あう、あう痛い。鼻水が止まらない。涙が止まらない。牙のないヘビなんて、卵を産まないニワトリみたい、ちょっと違うか。・・・ (kaeru) はい、手術成功。お疲れ様。気を失ってしまったか。 それにしても大きな牙だ。こんなのが体に刺さるんだぜkamekou、たまったもんじゃないよな。 (kamekou) 顔が腫れてしまっている。これじゃよけい甲羅から抜けなくなるだすな。 (kaeru) ああ疲れた。川で水でも浴びてくるか、返り血を浴びたみたいで気持ち悪い。kamekou後は頼んだぜ。 (kaeru) ああ気持ちいい。ひと仕事した後の川浴びは気分のいいものだ。まるで温泉気分だ。葦に体をこすりつけて汗と血を落とすと、思わずげろげろと叫びたくなるな。 しかし、ヘビを退治したカエルというのはおいらが初めてではないか、kaeruginnessに載るんじゃないか。カメの甲羅でネズミ捕りならず、ヘビ獲りを作れば売れるのではないか、これはいいアイデアだ。げろげろ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.08.14 07:18:23
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