「ヲコ幻想」物語22
㉒・・・やみくもに首を振ったものだから、頭が痛い。せっかく火に追いかけられた穴から出てきたというのに、また変なとこに首を突っ込んでしまった。これではまるで俺の牙にかかった獲物みたいではないか。なんとも情けない。おまけに首を振ったものだから気分が悪くなってきた。吐き気がする。おえー。・・・(kaeru) うわ~きたない。げろをはきやがった。せっかくのおいらの新居が台無しだ。(snake) すまん、頭を振ったら気分が悪くなった。もうだめだ動けない。(kaeru) 暴れるだけ暴れて眠ってしまいやがった。まったく迷惑なやつだ。こいつを何とかしないとおいら住めない。腹が立つから2,3発殴ってやるか。そんなことをしてもな。 おい、kamekouそんなとこにいないでこっちへ来いよ。(kamekou) わあー。臭いですね。(kaeru) だろ、だから洗うんだ。この迷惑野郎を川まで連れて行かなくちゃ。草縄をここに通して引っ張る。 kamekouそっちを引っ張れ。 よいしょ。kamekou力を入れているのか。(kamekou) 入れてますけど、びくともしませんな。 まったく長い体ですな、なんで無駄にこんなに長いのでしょうな。(kaeru) おいらたちを食って腹の中でじっくり味わうためさ。 仕方がない、起こして川までつれていくか。 この長い草で鼻をくすぐる。近づきすぎるなよ、長い舌で持っていかれるからな。(kamekou) こうだすか。(kaeru) へっぴり腰だな。(kamekou) やっっぱりヘビは怖いですねん。 はっはくしょん!(kamekou) うあ、びっくりした。あの中に凄い牙があるのですね。(kaeru) そうだろ、おいらはいつもあれに脅かされている。いまは向こうから近づけないから大丈夫。檻の中のライオンさ。・・・俺は鼻をくすぐられて目が覚めた。目が覚めても悪い状況は変わらない。・・・(kaeru) お目覚めかい。おいらのうちが臭くて住めないじゃないか。まったくげろなんかしゃがって。(kamekou) おいらのうちって、これはわしのものだす。(kaeru) そういいなさんな、おいらたち友達じゃないか。(kamekou) 友達て、公房の友達みたいだすな。(kaeru) どっちにしたって、この中をきれいにしなくてはすめないだろ。川で洗うしかないな。 おいsnake前が見えないだろ、川まで引っ張って行ってやる。おとなしくついて来いよ。kamekouおまえはそっちを引っ張れ。 高圧洗浄機でもあればいいのだが、そんなものはないからここから飛び込め。(snake) わあー、助けてくれ、甲羅が重くて沈んでしまうよ。(kaeru) 暴れろ暴れろ、暴れれば暴れるほどきれいになるというものだ。・・・やっとの思いで岸に上がれた。うおー寒いいー、この時期に川に入るなんて俺は何をやっているのか。・・・ (kareru) ブルブル震えていやがるぞ、いい気味だ。死なれても困るが生きていられても困る。半殺しぐらいがちょうどいい。・・・勝手なことをいいやがって、腹が立つ。しかし情けないかな今は何もできない。 とんだどつぼにはまってしまったものだ。・・・(kaeru) おいヘビ野郎、鼻水なんかたらしてまたこの部屋を汚すなよ、長い顔を縮めて隅っこにいろよ。おいらたちはこっちにいるから。おい、kamekou遠慮しないで入って来いよ。(kamekou) 遠慮しないでだって、これはわしの甲羅なんだす。(kaeru) いや、こいつが変に首を突っ込んできたから、話がややこしくなったんだ。まったく首の抜けない間抜けな迷惑野郎だ。(kamekou) 首が抜けたら、あんさん食われるだす。(kaeru) だからこうして、こいつの頭をぽこぽこ叩いて弱らせるのさ。・・・ああ俺の頭を木魚みたいに叩きやがって、悔しいい。涙が出てきた。・・・(kaeru) こいつ泣いていやがる。そんな顔を見るともっと叩きたくなる。日ごろ威張っているやつの情けない顔を見るのはこんなに楽しいものなんだ。いい音するねこの頭。 そうだ、snakeおまえ、moguraの燻製があるとか言っていたな、どこにある。隠し立てすると承知しないぞ、正直に言いやがれ。(snake) さっき甲羅を覗くときあそこに置いたhitokataの腰巻の中にあるよ。(kaeru) ぴょんぴょん跳んで取ってくるわ。kamekouも手伝え。(kamekou) これだすか。どっこらよっこら、えんやささ。 snakeさんもhitokataがこれを干してるときに盗んだんでっか。 (kaeru) そうだろ、偉そうに言ってお前もおいらと同じようなことをしてるではないか。(snake) いや、それはevaが落としたものを拾ったのだ。(kaeru) おいらと同じじゃないか。(snake) いや俺は返そうとしたのだが、evaはなぜか逃げて行った。(kaeru) そんなことは何とでもいえるさ。 お、これは珍味だな、kamekouこれはいけるぜ。 ところでこの実は何だ。 kamekouお前かじってみろ。(kamekou) うん、これは酒の実だすな。(kaeru) 酒の実?(kamekou) これを食べるといい気分になるのだす。(kaeru) 本当か、かじってみよう。甘酸っぱくていい感じだ。・・・こいつら踊り始めやがった。あ、痛!頭をたたいて調子を取りやがって、まったく腹が立つ、それでもどうにもできない。ああ腹が立つ。・・・(kaeru) こいつ大泣きしてやがる。愉快愉快、kamekouお前も笑え、笑え。