4月は年度決算関連で皆さん忙しくなるわけですが、近年は多くの企業が基幹系統合システムの稼動が安定し始め、単体で5日、連結ベースでも10日前後で決算が完了するケースも目立ってきました。

　その前提として詳細な月次決算や日次決算が夜間JOBなんかでバンバン走っているからなんですが、そんな風に繰り返し予定されているイベントはなるべくルーチン化したほうが仕事も速いし恣意性も排除できるので喜ばしい事です。

　ところがIFRS対応等で業務や会計に関する基本的な考え方について再考を余儀なくされ、或いは長引く不況の影響で、コストのかかるホストからの脱却を目指して、業務プロセスやシステムをリプレースした企業にとっては必ずしも楽になったとは言えないわけで。

　基幹業務システムとして、SAPをはじめとするパッケージの導入が大手企業にほぼ行き渡った感のある昨今ですが、導入当初のAS-ISプロセスに拘ってしまったばかりに大量に作りこんでしまったアドオン機能が、今になって業務見直しに伴うバージョンアップや機能追加の制約になってしまっているケースも目に付きます。

　人に仕事が付いてしまうと、いつしかその人の思いだけで業務が回る様になってしまい、その人にしかわからない仕事が出来てしまいます。そういう人の想いだけで作りこまれたシステムは、えてしてブラックボックス化し易く、操作手順だけが語り継がれて、度重なる小規模な改修に当初の設計系ドキュメントは風化し、いざ置き換えとなると「はたしてこの機能は必要だったんだろうか」なんて笑えない話も多々出てきます。

　んじゃ、この機能は捨てちゃおうか・・・というと、その「必要かどうかも定かではない」仕事をしている人では判断が出来ない・・・まあ、便利になったというのは「考えながらやってた仕事」が「ボタンを押せば済む仕事」になったという事で、以後、工夫することも考え直すことも放棄した「作業員」が日々黙々とクリックするだけの業務になっていたというケースが珍しくないわけです。

　このボタンをクリックしなかったらどうなっちゃうのか・・・このJOBを組み替えたらどこに影響が出るのか・・・・当時のベンダの資料からは想像が出来ないような事態が起きている会社も少なくないわけです。で、「今回はとりあえず押しとけ」「今回はとりあえず回しとけ」が語り継がれていくことに。みんな、面倒は嫌いなんです。もちろん、Oyajiもです（笑）

　そういう所に出向いて解析してみたりすると、「とりあえず押したボタン」の所業を後続のマニュアル作業でチクチクと取り消していたりするケースもあって、その取り消し作業が「新業務プロセス」にしっかり組み込まれている事を発見して腰を抜かしたり。

　中途半端な見直しは却って無駄を埋没させるインシデントに成り得ます。でもスコープを広げると、限りなく広がったネットワークの再構築はどれだけコストがかかるか計り知れない。やっと回復の兆しの見え始めた経済環境と、目前に迫った改革期限。もっとニッチなビジネスを考えるべきなのかな・・・・





　と思いながらも「とりあえず"伝承で"押しているボタン」の影響を夜も寝ないで調査しているSE達の背中を、そっと見守るOyajiなのでした。（オマエもやれよ、ってか）