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カテゴリ:日々の暮らしで思ったこと・気づいたこと
アメリカのスーパーの缶製品売り場を眺めていると、つくづく現代の沖縄料理がアメリカの影響を大きく受けているということに改めて気づかされるのである。
例えば、ポークランチョンミート(ポーク缶)、コンビーフハッシュ、ビーフ&ベジタブルなどはどれも戦後のアメリカ軍統治下で配給された食品で、次第に沖縄の食材として取り入れられたという歴史背景がある。 特にポークランチョンミートは、元々沖縄県では豚肉を良く食べる習慣があった為に広く浸透していったという経緯があり、チャンプルー(野菜などの炒め料理)などにも良く使われるほどで、現代の沖縄家庭の典型的な常備食の一つと言っても過言ではないほどだ。 上記に挙げたアメリカの食品が沖縄でどのように取り入れられているか知っていただく為にも、以下に調理例を書き並べてみたいと思う。 <ポーク缶> チャンプルーの種類を挙げれば本当にきりがないのだが、例えば、ゴーヤーチャンプルー(苦瓜の炒め物)、たまなーチャンプルー(キャベツの炒め物)、フーチャンプルー(車麩チャンプルー)などにもポーク缶を入れることもある。 その他にも、ポーク卵(焼きポークと卵焼きセット)、ポーク卵おにぎり(ハワイで言う、「スパムむすび」)、ポーク卵サンドウィッチ、そして、天ぷらの具として揚げたり、刻んで炒飯や味噌汁に入れることもある。 ちなみに私の実家では、時々ポークカレーが食卓に登場することがあるのだが、この場合のポークは豚肉ではなく、もちろんポーク缶のことである。(^^:) <コンビーフハッシュ> コンビーフハッシュもポーク缶同様、野菜チャンプルーなどに良く使われる。 その他、コンビーフハッシュオムレツ(コンビーフハッシュを溶き卵に加えて混ぜた上で味付けをし、フライパンで焼いた料理。)、コンビーフ目玉(炒めたコンビーフと目玉焼きのセット)など朝ご飯メニューとして登場することも多い。 <ビーフ&ベジタブル> 沖縄では、「シチュー」とか「ストゥー」などと呼ばれているが、一般的に知られているシチューとはまた違った味がするので要注意。 ちなみに、私の祖母や母はビーフ&ベジタブルのことを「ベジタブルー」と呼び、ビーフ&ベジタブルに予め茹でたほうれん草と沖縄の島豆腐を加えてことことと煮た料理を良く作る。 私の知り合いのお宅では、ビーフ&ベジタブルにへちまと島豆腐を入れて食べるのだとか、、、。 沖縄ではメイファーというオーストラリア産の商品が有名だが、アメリカにも類似品がある。 これらの食品の各家庭での浸透度も異なるとは思うが、他にも、ポークビーンズ、キャンベルスープなどの缶製品、さらには、ルートビア、Foremost(フォーモスト)アイスクリームやチョコレート牛乳(*沖縄では、ブルーシールという商標で販売されている)、PLANTERS(プランターズ)ピーナッツ、WRIGLEY'S(リグレイズ)ガムなども沖縄では容易に手に入れることが出来るのである。 また、外食文化でもアメリカ食文化の影響を大きく受けているのも事実で、アメリカのファストフードチェーン店・A&W(エイアンドダブリュー)や、今や日本本土にも知れ渡ったタコライス(*アメリカ風タコスの材料をご飯に載せた、沖縄オリジナルの食品。)もその一例だろう。 ファストフードと言えば、私がまだ学生の頃、モスバーガーでアルバイトをしていたことがあったのだが、沖縄支店では和風スープよりもクラムチャウダー、ミネストローネスープの方が断然売り上げが高く、私の当時の上司が『沖縄の人はキャンベルスープなどを飲みなれているから、和風はかえって違和感があったのだろう。これもアメリカ食文化の影響だ。』と言っていたのを今でも覚えている。 実際、和風スープの登場により、一部の洋風スープが店頭から消えた時には、特に沖縄では苦情が多かったとも聞いた覚えがあるが、現在のモスバーガーのメニューを見てみると、クラムチャウダーとミネストローネが沖縄限定販売になっているのにはそういった背景が考慮されているのではないかと思う。(http://www.mos.co.jp/menu/tenpo/) スープのみに限らず、アメリカの影響が顕著に出ている沖縄の外食文化は他にもいくつかあるのだが、以下に書き出してみたい。 *フライドポテトにケチャップをつけて食べる習慣が浸透しており、ファストフード店でフライドポテトを頼むと、大抵の割合でケチャップが付いてくる。 *沖縄のステーキ専門店に行くと必ずA1ソースが置かれている。 *沖縄の食堂などでは、焼きそばを注文すると、ケチャップ焼きそばが出てくることもある。ちなみに私の実家では、父が焼きそばを作る場合には必ずケチャップ焼きそばになってしまうのだが、ウスターソースとケチャップをバランス良く絡めた味はすっかりうちのおふくろの味、、、もとい、親父の味になっている。(^^;) それから、アメリカによる沖縄の食文化への影響を語る上でも、沖縄の紙パック入り飲料の容量について触れるのは忘れてはならないだろう。 一般的な沖縄の紙パック入り飲料の容量は、500ミリリットルや1リットルではなく、なんと473ミリリットルや946ミリリットルで、一見すると実に中途半端な容量なのだが、これもアメリカ軍統治時代の名残である。 特に日本復帰前は、沖縄で使われた容量単位は「gallon(ガロン=gal.)」、「quart(クォート=qt.)」、「pint(パイント=pt.)」 などだったそうだが、復帰後も紙パック入り飲料の内容量は変わらず、表示単位だけを日本本土と統一する為に換算した結果、473ミリリットルと946ミリリットルという内容量が定着してしまったのだとか、、、。 (ちなみに、473mlは1/8gallonまたは1/2quart、もしくは1pintに相当し、946mlは1/4gallonまたは1quart、もしくは2pintsに相当する。) 恐らく他にも、アメリカの影響を受けた沖縄の食文化の例はまだまだあるとは思うのだが、とりあえず今回は私が思いつくことだけを取り上げてみた。 沖縄を訪れる際には、アメリカの影響を受けた沖縄のもう一つの顔を探してみるのも面白いかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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