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テーマ:本のある暮らし(3310)
カテゴリ:ほどよく
夏だ。
嫌いだ。 暑い。 ベタベタしているから。 服を脱ぐのには限界がある。 冬だったら、いくらでも厚着ができる。 原理的には、だけど。 それに、冬のほうがさらっとしている。 まとわりつく夏の湿気よりも、凍てつく冬の乾燥が 僕は好きだ。 高校生とか、学生はどうなのだろう? 僕が夏といって、思い出すのはクソ暑い体育館での 蒸れる防具のクラブ活動と、8月20日を過ぎても手につけていない 読書感想文だった。 今から振り返れば、信じられないのだが、高校生のころ、僕は 読書が嫌いだった。 いや、好きでも、嫌いでもなかった。 だって、読んでないのだから。 そんな僕の好悪、趣味にかかわらず、夏休みは読書感想文を 書かなければいけない。 別に体制側の強要なんて、学生運動みたいなことは、言わないけど、 そういうことだ。 でも、僕は夏の文庫案内の企画は好きだった。 今でも、三社がやっている。 新潮社の「新潮文庫の100冊」 集英社の「ナツイチ」 角川文庫の「角川文庫 夏の100冊」 多分、三社とも学校の読書感想文の需要を見込んだ企画なのだろう。 なにしろ、夏目漱石の「こころ」は三社とも、企画に入っている。 僕も高校の時に読書感想文で読まされた。 当時の一番の感想は 「先生って、ナガイ手紙を書くなあ。まるで小説じゃないか」という、 どーしょーもないものだった。 ・・・夏目漱石さん、すいません・・・ そんな僕なのだから、きっと、blog読者諸氏は 表紙がカワイイ女の子だったりするから、僕はこの 文庫案内が好きだと思うだろう。 「なついち」の蒼井優さんはいいしね。 否定はしないよ。 女の子については。 でも、僕がこの企画が好きなのは、この企画で配られる小冊子が 面白いからだろう。 限られた字数で、あらすじを書き、さらに売るべくコピーライトな 一行に凝縮させる。 そんな、小説のエッセンスを無理矢理抽出した、この本は何度読んでも 飽きなかったし、短い時間で読めた。 だから、僕は毎年、三社ともの小冊子を本屋から持って帰り (なにしろ、タダだ)、家でちょこちょこ、読んでいた。 今では、ほとんど捨ててしまった。 惜しいことをしたなと思う。 だって、この100冊は入れ替わるから。 僕が高校の時なんかは新潮社の「夏の100冊」には夏目漱石さんだけで 4冊あった。 ちなみに、今年は2冊。 角川文庫の企画ではコクトーの「恐るべき子供たち」が抜けちゃっている。 ・・・コクトーを抜くのは、議論があったんじゃないかなあ??? そして、各々の特徴もある。 新潮社は名作・古典をまだ取りそろえようとしている。 集英社はあたらしもの好きだ。 なにしろ、村山由佳さんが4冊もある。 これは、全作家で最多である。 批判めいているように聞こえるだろうけど、これは仕方もないと 思う。 そもそも、集英社は文芸に強いとはいえないし、文庫も古典を 揃えているわけでもない。 きっと、文庫でかなり後発だから、古典の品揃えが不足しているのだろう。 ただ、養護すると、結構新しい企画を文庫でやってくれたりする。 南米作家の9人の代表作と短篇集の合わせて10冊を「ラテンアメリカの文学」として 毎月リリースしていたこともある。 ちなみに、私は全部持っている。 半分くらいは読めていないけど・・・ 角川文庫は新潮社と集英社の中間だ。 古典も現代も揃えようとしている。 きっと、これは角川文庫の歴史もあるのだろう。 角川文庫は文庫出版社としては古参であり、岩波文庫のように 古典ばかり揃えてたところから出発している。 でも、創業者から息子に経営者が変わると、多くの文庫を廃刊に 追い込み、新しい作品を次々と文庫にリリースした。 そんな、三社のスタンスの違いも感じたりすると、名作っていっぱい あるんだなあと、思える。 カッコヨク言えば、名作の入門になるし、図太く言えば読まずして 読んだ気分になれるのだ。 と、まあ、うんたら、ちんたら、僕の自慢とか(自慢になってるか??)、 感想とか、書いても終わりそうにないから、面白いコピーで絞めましょう。 興味があったら、君も小冊子を手に取りたまえ。 もしかしたら、本物の小説よりスリリングな文章があるかもよ?? 個人的には新潮社の小冊子のコピーが好きなんですが、はい。 「来る日も来る日も砂・砂・砂・・・・・・。」 (新潮社 夏の100冊 『砂の女』) 「ロリコンオヤジと美少女の不思議な愛。 エッチで哀しい世界文学の最高峰。」 (新潮社 夏の100冊 『ロリータ』) …ノーベル文学賞にすげえものいいだなぁ~ 「デカイ人の言葉はデカイ」 (集英社 ナツイチ『オシムの言葉』) 「自我の奥深くに潜むエゴイズムと罪の意識」 (角川文庫 夏の100冊 『こゝろ改版』) んじゃぁ。 ※もっと、「なんだかなー」なら『目次・◎ものがたり』まで お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年07月20日 23時04分57秒
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