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田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2008年07月21日
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カテゴリ:ほどよく
「百万円と苦虫女」を観にいった。

正直、あんまり期待はしていなかった。

どうせ、日本映画のこじんまりした映画だろうし、しょーもない
だろうって。

じゃあ、なぜ、見に行ったのか。

だって、そこに蒼井優さんがいるんだもん。
主人公の鈴子さんとして。

ちょっと、彼女の存在をスクリーンで観たくなったのだ。

ということで、公開初週に僕はこの映画を見に行ったのだ。

予想以上に面白かったってことだ。
予想が低かったのかもしれないのではあるのだが。

のんべんだらりと、進んでいくかにいくお話なのだが、
時々、人間の残酷さをさっくりと、同時にしっかりと書いている点がある。

たとえば、鈴子と拾ってきた猫の話や、鈴子の弟への級友のいじめ、
桃娘の集会なんか、かなり残酷である。
大きな残酷ではなくって、小さく、普通に生きようとすれば
生まれる残酷さだ。

逃れられないトゲといったら、言い過ぎだろうか。

そのトゲがこの映画に不思議な深みを持たせていると思うんだ。

自分探しを美化するような映画じゃなくって、自分を探さない
鈴子さんに説得力を持たせているんだ。

そして。

なにしろ。

全編にわたって蒼井優さんの魅力があった。
困ったように笑う表情が、とっても、チャーミングな女優は
彼女を他においていない。

個人的にはキスシーンは凄く良かったと思う。
恋愛感情を確認する直前のキスの、きっと大丈夫だってわかってるけど
万が一、拒否される不安感のドキドキが良く出てた。

僕の中では、「アンナ・マデリーナ」に次ぐ、キスシーンである。

対立しないから、逃げていかないといけなくなるっていうのは、
結構、普遍的なメッセージだと思う。

これが、ハリウッドとか、映画でも大作だったら戦うことを
描くことで逃げない大切さに説得力を持たせる。
そうやって、観客は泣くように感動する。

一方で、「百万円と苦虫女」のような、やや、ゆる~い映画では
逃げていってもうまくいかないことで、ちゃんと立ち止まり、
関わる事の大切さとか、必要さとか、それでも傷ついて、捨てなきゃ
いけない大切さを、あぶり出す。
そうして、観客は諭されるように、納得して、心がほっこりする。

つまり、「百万円と苦虫女」はゆる~い映画ではとおっても、良くできていた。

見に行っても損はないと思う。
20歳前後の鈴子さんと同世代よりも、その世代を超えちゃった人が
観た方がいいかもしれない。

って、褒めまくりでは文章に説得力がないので、どーだろ、って
思ったシーンを二つほど。

一つは鈴子が出て行くことを宣言する、家族の言い争いのシーン。
ラッシュで上手く表現できてるとは思うけど、そんな小細工に
頼らなくても良かったと思う。
そりゃ、両親の浮気の暴露合戦の伏線を描くのは難しいだろうけど、
もう少し、「シャバダバシャバダバ」な蒼井優さんが演じる鈴子さんの
気持ちとか、表情をきっちり描けたのじゃないかなって。
やや、残念。

そして、ラスト。
これは好みがあるから、難しいけど、僕は中島君と鈴子さんが出会って
欲しかった。
ネタばれ過ぎるから、いわないけど、ラストの台詞はどうだろう。

そういう方法もあったかと褒める人もいれば、腑に落ちない人も
いるだろう。

きっと、監督で脚本家のタナダユキさんも迷ったんじゃないかな。
もしかしたら、何パターンかエンディングは用意されていたかもしれない。

完成した映画に対して、比較することはできないけど、鈴子が振り返り、
見つけて、笑顔で手を振ったりすることだってできるんじゃないだろうか。
そっちのほうが、鈴子の「大切な人と別れることも必要なんだ」って決意が
伝わるんじゃないかな。

決意じゃなくって、偶然、すれちがったというのは、どうだろう。

そっちの方がアクチュアルであるだろうけど、ものがたり上のリアリティを
低下させているようにも思う。

・・・と、まあ、ちんたら書いただけでも、このラストが難しいものだってのは
おわかりいただけるかな。

あとは、皆さんでみてちょーだい。

蒼井優さんを好きになった3分後くらいに、あなたもあなたの事を好きになって
はげませる映画になってるから、さ。

※もっと、「なんだかなー」なら『目次・◎ものがたり』まで





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最終更新日  2008年07月21日 22時45分15秒
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