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テーマ:ニュース(100171)
カテゴリ:硬派
アジアのホテルにいた。
といっても、インペリアルとか、コンラッドなどといった 最高級のホテルでもない。 勿論、香港のペニシュランとか、シンガポールのラッフルズといった 格式あるホテルでもない。 やけに効き過ぎるクーラーのある、香港の安宿だった。 勿論、テレビがある。 そのテレビでは、チャンネルを押せば、BBCや、CNNが流れている。 チェルシーや、バルセロナのサッカーだって見ることが、できる。 でも、その日は朝からBBCも、CNNも同じニュースだった。 リーマンブラザーズが連邦11条を申請したからだ。 再建はするけれども、かなり巨額の債務が不履行になるはずだ。 債務の不履行って、かっこいい言い方だ。 要するに、払うお金がなくなったのだ。 ニューヨーク証券市場がテレビの画面に映し出され、 狼狽もしないコンピューターの表示が下落だけを示していた。 でも、東京証券市場は写らなかった。 なぜなら、休みだからだ。 そのくらいは、僕でもわかる。 なぜなら、僕は日本人だからだ。 「今日も人がおおいやろなあ~」 香港で合流した、友人が言った。 僕は不思議だった。 その日は9月15日で敬老の日ではあるが、月曜日だからだ。 「なんで?」 僕は彼に聞いた。 「今日はあれだよ。中国も香港も休日なんだよ」 彼は中国に数年住んでいた。 中国の共通語である普通語も、ぼくからみると、ぺらぺらだ。 香港の目抜き通りである、ネイサンロードではすぐに人の 肩にぶつかった。 カップにはいった、マンゴーのスイーツを歩きながら 食べている若い女性が。 僕にはみんな、同じ言葉のように聞こえたが、友人には 普通語と、わからない言葉、つまり広東語が混じって 聞こえたらしい。 中国本土からの観光客が多いからだ。 ふと、僕と友人は立ち止まり、露天で雑誌を買った。 「MENZ UNO」 なぜ買ったかというと、地下鉄にあった、その広告の 女の子がかわいかったからだ。 その中にはドルガバとか、ディオール オムとか、そして、 少しだけどミハラヤスヒロの洋服のコレクション掲載されていた。 実はもう一冊買っていたんだが、それは、ちょっといやらしい本だった。 漢字三文字の名前ばかり並んでいたが、漢字 五文字の女性の名前があった。 それは、日本では数年前に通常のルートのDVDからは引退していた はずの日本人のそういった女優だった。 ネイサンロードの銀行は閉まっていた。 でも、電光掲示板は動いていた。 朝に、安宿でみたように、ニューヨークの株価が 下がりっぱなしだった。 でも、香港と、東京と、そして中国は取引がなく、 平均株価の大きな画面には横棒が、しゃっと引かれて いただけだった。 勿論、休みの銀行に並ぶ人などいなかった。 取り付け騒ぎを起こそうにも、銀行が業務をやってないのだ。 もしかして、そうだったのかなって、僕は思った。 きっと、リーマンの倒産は大分前には決まっていたのだ。 でも、申請は9月15日に待っていたのだろう。 日本と、中国と、香港が休みだから。 もし、これが世界中のどこもが休みでなかったら、どの市場も 下落し、難しい言葉でいうと、信用収縮が強くなるだろう。 信用収縮ってヤヤコシイ言葉だけど、お金が払えそうにない可能性が どんどん増えることなんだろうって、僕は思う。 きっと。 でも、どこかで、ふと一休みすると、その収縮は弱くなる。 パニックが、ちょっと落ち着くのだ。 世界は一つで動いているかもしれない。 でもね。 どこかが休んでいる事が、必要なのだ。 そして、人生に休みが必要な僕は会社を休んでバンコクと、 香港を旅行していたのだ。 ※もっと、「なんだかなー」なら『目次・◎時事・ニュース』まで お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月30日 00時20分23秒
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