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田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2009年05月10日
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カテゴリ:ほどよく
僕は伊坂幸太郎さんの作品が好きだ。


「死神の精度」
でも、書いたけど、そのクールさがたまらなく好きだ。
クールという日常とは違った視点から生まれてくる、登場人物も
好きなんだとおもう。

ただ、今まで読んだ、伊坂幸太郎さんの作品では、「グラスホッパー」が一番、気に入っている。

この小説は、人を自殺に追い込む鯨、ナイフ使いの蝉、そして押し屋が登場する
殺し屋ばかりの小説である。
そうそう、主人公の鈴木だって、クセがある。
妻をひき殺した寺原の息子に復讐するために、寺原の怪しい企業である
「令嬢」に入社するのだ。

とはいえ。

僕がこの小説で一番印章に残っているのは、殺されてしまうかもしれない
少年とのサッカーの話だ。

これは、とても効いている。

主役の鈴木は、半ば少年を守るつもりで、あるいは何も考えないままに
少年とサッカーをする。
本当に何気ないシーンだ。
もちろん、感傷的になりがちにな描写も、おしゃれで、スタイリッシュな
文章になっている。

ただ、実は、この小説は、状況はどれも緊迫している。

このサッカーのシーンは日常的なのだ。
とても、効いている。

少年の環境が日常とはかけはなれた過酷であろうものだけに、
普通の少年のようにサッカーをし、あるいは昆虫のシールを
集めることが、ほっとして、救われる気持ちになる。

だから、この本を読んでかなり時間が経つのだけど、この少年との
風景はパパッツと思い出せる。
細かい言葉よりむしろ、その描写が持つ、雰囲気だ。

まっすぐに海に沈んでいるマッサラなイカリのように重みがありながら、
かつ、すがすがしいのだ。

やっぱり、この風景を浮かばせるのは、伊坂幸太郎さんの描写が
すごく、上手だからだと、おもう。

文庫本にある巻末のあとがきにも、伊坂さんの描写のうまさにも
触れている。

そこで、ここでは、別の問いを考えてみたい。

なぜ、伊坂幸太郎さんは描写がうまいのか。
カメラで取られたような、切れ味のよさを心情とする
文章を書くのか。

僕は思うのだけれども、それは、彼の小説の構成によるものだと
思う。

伊坂さんの小説は、長編は特にそうだけれども、視点が変わる。
「グラスホッパー」では鈴木、鯨、蝉、と視点、つまりは語り手も
変わるし、時間も入れ替えがある。

実は、こういう小説は描写で時間稼ぎをしないといけなかったりする。

だって、視点を変えて時間を流したいけど、その主役には適切な
エピソードがなかったりするのだ。

パズルを上手に組んではいるのだけれども、どこかに隙間が
できてしまうのだ。

すると、作者は描写で稼がないといいけないのだ。
しかも、読者を飽きさせないレベルでだ。

僕は伊坂さんの描写のうまさは、この小説の構成が求めている点も
あると思う。

つまり。

小説家とは、小説の求める何かを明確な形で提供できる人種の
ことを言うのだ。

そして、風景の描写が卓越した伊坂さんは間違いなく、その
人種にいるのだ。

※もっと、「なんだかなー」なら『目次・◎ものがたり』まで





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最終更新日  2009年05月10日 21時50分29秒
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