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田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2010年10月08日
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カテゴリ:硬派
どこまでが河岸なのだろう。

水平線の上に、水じゃないものが、薄く見える。
存在感がない。
きっと、陸地なのだろう。
確かめたくて、眺めれば、眺めるほど、ますます、
実際に陸地かわからなくなる。

もしかして、蜃気楼じゃなかろか



水は黄色くて濁っていた。
船が巻き上げる飛沫は日本のものよりも、
白く見えるほどだった。

僕はフェリーのデッキにいた。

きっと、まだ、河なのだろう。
長江から海に向かって、船は進んでいた。




僕は友人を訪ねて、上海に行った。
国慶節で休みの上海は外国人にせよ、
中国人にせよ観光客ばかりだった。

でも、僕が上海にいたのは二日だけだった。
四日間はフェリーにいた。

僕はフェリーで往復していたのだ。




なぜか?
海を見たかったのだ。
いや、海だけを見たかったのだ。
友人を訪ねようと決めて、ふと、気がついた。

海外旅行にはいってるけど、海だけって見たことが
ないんじゃないか。
いつも、僕は陸地から海を見ていたり、海からで
あっても、島が視界にあったじゃないかって。

人生で一度くらいは海だけを眺めてもいいんじゃないかって
思った。




フェリーで行くといったら、みんな、飛行機で
いきゃいいじゃないかって言った。

時間の無駄だとか、アホみたいな旅行日程だって
言った。
まあ、確かに6泊7日、4泊船中というのは、アホみたいだ。




『海か、いいなあ』

オヤジだけがそういった。
いつもと同じスピードで、多分、テレビを見ながら
僕に言ったのだろう。
母は海外だから、メモ用紙に緊急連絡先を書くようにと、
僕に念押しをした。

そういえば、オヤジはよく海を見に行っていた。

時々は僕を連れて行ってくれたものだ。
といっても、僕が朝の五時くらいに起きたときだけ
だった。

なぜかというと、オヤジは本当に海だけを見に行っていたのだ。

朝の五時におきて、八時くらいに海に到着し、浜辺で座って、
ちょっと、ドライブをする。
どこかで昼食を取って、帰ってくる。
帰宅するのは遅くても夜の九時くらいだ。

泳ぐわけでも、サーフィンをするわけでも、釣りをするわけでも
ない。

つまり、オヤジは、本当に海だけを見に行ったのだ。


『海にみると、元気がでえへんか。

・・・

わからんか。

・・・

特になぁ、荒れた海の波とかな。
帰りには元気になってるんやな』


なんか、オヤジはそんな事を言ってた。
眠たかったから、あんまり、記憶は確かではない。



そんなオヤジと眺めていた海より、長江の河口ははるかに
大きかった。
日本の港の多くが狭い場所に工夫を凝らして建造されているのに、
長江の河口付近の港は、広くて工夫もいらずに悠然とあった。

川岸に何本もクレーンが並び、コンテナがその横に平積み
されていた。


中国の人がおおらかで、日本人が細かくて器用になるのも、
当たり前のように思った。

なにしろ、これでも、河なのだ。



船がどのくらいのスピードがわからなくなってきた。
陸地が見えず、止まっているものが見えないから
船の速さがわからないのだ。
川岸にいくつも並んでいたクレーンはどこに
いったのだろう。

友人の話によると、海に出てしばらくすると、
黄色の水と、蒼い水がくっきりと線を引くところが
あるらしい。

いったい、それはいつになるのだろう。

見渡す限りは黄色い水に船は浮いている。

船の上の僕は、その線を越えることができるのだろうか。



船が揺れるほどではないが、波が高くなって
きていた。
太陽を少しだけ、薄い雲が隠していた。
風が強くなったのか、雲は流れて、
太陽がまた、すぐに強くなった。

羽を広げた鳥が風にのって、悠々と船の周りを回っていた・

僕の鼻にも風が入ってきた。

懐かしい匂いがした。
潮の香りだった。

海辺に小さい頃に住んでいたわけでもないのに、
どうして懐かしく思うのだろう。

もうすぐ海なんだ。



水の色はどんな風に変わるのだろうか。

そして、蒼い海に滑り出したら、僕はどんな
気持ちになるのだろう。

船が強く揺れて、気持ち悪くなっているだけかも
しれない。

それでも、やっぱり、僕はワクワクしていた。
何度も見た海なのに、海はいつも初めてみたいに
姿を変えてくれる。

黄色い水と、蒼い水の線は何本くらいあるのだろうか。




そうだ。

また、オヤジと海に行ってみよう。

たとえどんなに眠くあろうが、どんなに
退屈であろうが。


※もっと、「なんだかなー」なら『目次・◎旅』まで





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最終更新日  2010年10月21日 00時11分53秒
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