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田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2010年10月31日
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カテゴリ:ほどよく
数週間前。

男の友人と、女性の友人と三人で僕は平城京跡に
来ていた。

僕は平城京跡の太極殿跡から野外コンサート会場が
見えていた。
歌は聞こえていた。
緑色の椅子だけがあった。
客はいない。

曲は「すべての悲しみにさよならするために」だった。

一緒に来ていた友人は二人とも、この曲を知らなかった。

「誰の曲だよ」
男の友人は訊いた。

「KANの曲だよ」
僕は答えた。

「へえ、「愛は勝つ」の?」
女の友人も尋ねた。

「そうだよ」
僕は答える。

それにしても、まったく客がいない。
大丈夫だろうか。

男の友人も同じことを感じたのだろう。
「客、誰もいないね」

女の友人がパンフレットを確認して、答える。
「でも、チケット売り切れたって、書いてあるよ」

まだ空は青くって、なにより、時計を見て
僕が気が付いて、話す。
「リハーサルじゃないの?」

「そっか」
男の友人と、女の友人は声を揃えたみたいに、
納得した。




ただ…
数年前の上海ではどうだったのだろうか。




僕は友人は極めて少ない。
その数少ない中で、上海に住んでいる
友人がいる。

数年前に電話でこんな、会話をした。

「こないださ。バーにいったんだよ。新天地の
友人が言う。

「女と一緒にか?」
僕は質問する。

「それでさ、予約席ってあってさ。KANのコンサートがやるらしくって」
友人は僕の質問に答えない。

きっと、かわいらしいけど、ワケアリのホステスとでも
バーに行ったのだろう。
まあ、いい。
人生のささやかな楽しみを追求するほど、僕は
野暮ではない。

「けやき通りがいろづく頃」のか?」
追求の代わりに、僕は真剣に答える。

「いや、そんな曲、知らないけど。
「愛は勝つ」の、KANだよ」
さらに、友人は続けて話していた。
「それで、予約席って表示があってさ。
前のほうの席がね。
まあ、飲んでるうちに、KANが出てきて、歌うわけよ」

「同伴出勤の値段と、店への出勤時間でも確認してたんか」
やっぱり、あきらめきれない僕は訊く。

「まあ、KANが歌っても、その予約席が埋まらんわけよ。
だから、勝手に、どんどん前にいってさ。
最前列で聴いていた」

「雨にキッスの花束を」でも、セルフカバーしたんかいな」

「・・・曲名まではわからんけどな。
やっぱり、プロは歌が上手いなあって思ったよ。
いいもんだね」

「それで「まゆみ」は歌ったんかいな」
僕はしつこく、KANについて訊く。
どうせ、隣に誰がいたかは口を割らないだろう。

「愛は勝つ」は好きじゃないけど、実物聞いたら、なんか、もっと、聞きたくなったよ」
友人は電話の向うで、一人で納得していた。

「っていうか、「愛は勝つ」しか、知らんやろ」
僕は断言して、決め付ける。

「まあ、そうやなあ。
でも、ほとんどの人がそうやろ。
なんか、オススメでもあるんか」
友人は悪びれもせずに、言う。

「・・・「東京に来い」!!!」
僕は、答える。

「いや、俺上海やし。
第一、お前、東京やなくって、京都やないか」
友人は、これまた、真剣に答えてる。
多分。




ちなみに「東京に来い」はKANの曲名です。
はい。




なんか、奈良市の平城京跡で、僕は京都と、上海の、
明らかに盗聴しても価値のない無駄な会話を思い出していた。


そして、僕はKANが平城京のリハーサル会場で「すべての悲しみにさよならするために」を聞いていて、なんだか嬉しくなった。
ああ、この素晴らしい曲はライブで、きっと、KANは歌い続けているんだろう。


ただ、世間ではやはり、KAN=「愛は勝つ」なんだろ。
そして、きっと、一発屋として認識されているんだろう。

それは、KANという歌手にとって、よかったのだろうか。
私にはわからない。

でも、私には「愛は勝つ」以外の曲が知られていなくって、残念だ。

とはいえ、僕はKANの熱烈なファンではない。
なぜか、「けやき通りがいろづく頃」という曲を時々、聞きたくなるだけの男でしかない。





「けやき通りがいろづく頃」はいい曲だと思う。

内容はというと、友人の女性の結婚の報告を聞く男の
お話でしかない。

なんで、時々、そんなに聞きたくなるのだろう。
しかも、一曲通して。



英語もなければ、かっこいい、言い
回しもない。
サビに使われている言葉は、ありきたりの
言葉でしかない。

クールでも、かっこよくもない。
新しくなんて、まったくない。

でも、そのありきたりの言葉の重さってうのが、
曲をすべて聴けばわかる。

当たり前の日本語を印象的に、繰り返し使っては
いるけれども。
その言葉だって、感情のそのままの言葉じゃない。
お話の一つだ。
物語の、お話の後ろから、感情がちゃんと浮かんでくる。
浮かんできた感情は単純じゃない。
愛とか、友情とか、責務とかが絡んでいて、哀しくて
残酷だ。

そうだ。

「けやき通りがいろづく頃」は複雑で残酷な人とのつながりと、
その複雑を我慢した先の祝福があるのだ。

「よかった」、というとても単純な、祝福が。


曲を聴き終わり、聴けば聴くほど、時間をかけて、でも、
しっかりと貴方に染みとおる曲に思う。




KANの曲は一通り曲を聴けば、ちゃんと、お話がある
曲がとっても多い。
歌詞を何度も味わえるのだ。

お話、物語の要素が少ない「愛は勝つ」はむしろ、
例外なんだと、僕は思う。


今の音楽は、と僕は偉そうに言えない。
第一、音楽をあんまり、聴いていない。

ただ、なんだか、一曲通して聴くってことが、
少なくなったんじゃないかって思う。

歌手がシンガーソングライターになり、アーチストになる
につれて、物語よりも感覚が重視され、曲全体よりも、
サビのフレーズが重視されるようになった。

それは、なんだか、恋愛の切ない気持ちを英語とか、
あるいは、日本語の決まり文句にしたフレーズを
繰り返すことで成立している曲に思える。
誰だとは言わないけど、『あいたくて』ばっかり、サビに
使うアーチストだっている。
・・・誰か、すぐにわかるか・・・(苦笑)

KANの「けやき通りがいろづく頃」は英語を決まり文句に
つまって繰り返していない。


最近、僕は昔の歌謡曲とか、聞いたりする。
歌手が、歌手だった時代だ。
確かに、古臭い。
でも、そこには人間のうっとおしさがある。
偏見がある。
未練がある。
まとめて、言えば情念がある。

最近のおっさんになった、僕はそこに引き込まれる。
どれだけスタイリッシュに構えていようが、人間は
やはり人間であり、どうしようもない部分を持っている。

だけど、どうしようもないから、我慢しようって
かっこつけたり、頑張ったりする。

その頑張り方を、きっと、「けやき通りがいろづく頃」は気づかせてくれるのだろう。




話が長くなった。

なにより僕は、KANさんの曲を聞き返してみようかと思った。

歌手が、まだ、歌手であり、一曲がまだ、一曲で聞いてもらえる
そんな時代の最後の歌手だったかもしれない、KANの曲を。

なにより、リハーサル風景を眺められた幸運に感謝する。
そして、客がいないなって思った、自分自身に反省を
しよう(苦笑)。


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最終更新日  2010年10月31日 21時05分22秒
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