ＰＡＤＤＬＥ

あの時・・・そう、僕が自分自身で自分の人生に節目を引いた時。
僕は若干１５歳、中学３年生。
つまり３年Ｂ組のみんなと同じ歳の時に、
初めて性について深く考えた。
僕の中学校は、３学年全員の人数は１３１人。
その全員の前で、僕は文章を読んだ。
体育館のステージの上、僕は深呼吸をして、文章を読んだ。
体育館は広かった。
１３１人の顔が見えた。
少し寒くなりだした頃の話だった。
僕は頭の中が真っ白で、何をしていたのか思い出せないが、
すごくすがすがしい思いで、
堂々とし、気持ちを込めて演説していたことは覚えている。
僕は性教育をした。
生徒の前で、性教育をした。
一生懸命訴えた。
あれ以上は、僕にはない。
僕は一生懸命伝えた。
性の大切さ、命の大切さ、愛の大切さを伝えた。
それが伝わったかは分からない。
だが僕は一生懸命やった。
何故それが今思い出せるか。
それは、今金八を見ていて、
やはり最近では、性についての意識がとても軽い。
そう思ったからだ。
「だれだれがセックスをした」
そんな噂を平気で流し、それを面白半分にからかっている。
そんな状況が許せないからだ。
もし僕があの場にいたなら、
つまり僕が３年Ｂ組のメンバーだったなら、
僕はおそらくそういう奴らをみんな殴り殺していただろう。
最悪の状態を経験した者以外、みんな、本当にみんな、
性についてなど何もわかってはいない。
だから過ちを犯す。
人によっては、それを過ちとしないでよい経験と片付けるのかもしれないが、
道徳に言って過ちを犯す。
「それくらいいいじゃん」
「興味あるんだもん」
そう過ちを犯す。
僕は許せない。
そういう軽い考えでいる人達も、
もちろん傷ついている人がいるという事態を面白半分にはやし立てる者たちも。
殺してやりたいくらい許せないのだ。
まぁ何故こんなに許せないのか。
何故性教育などしたのか。
その理由は今ここで言うことはできないが、
僕はとにかく許せないのだ。
僕は、全てを分かるのが早すぎたのかもしれない。
もう少し青春を、子供時代を楽しんでいたかったと、少し思った。

・・・古い記憶を思い出した。
それだけだ。
本当にそれだけだ。
この日記、誰も気にしないでくれていい。
独り言だ。
それだけだ。