カテゴリ:小説
中学高校時代は地味でパッとしない女の子だった糸井美幸は、
短大に入って、色っぽい派手な女性に大変身。 肉厚な唇と大きなバスト。 その色気を武器にして、さまざまな男を手玉に取り、犯罪にも手を染めていく。 そんな糸井美幸を、周辺から見て噂する人たちだけの視線で表していく という形の小説です。 噂をしたり聞いたりしているだけだから、 それが本当のことかどうかはわからない。 最後のほうでは、彼女を追跡する刑事まで出てくるけど、 それでも真偽のほどはわからないまま。 その刑事も、美幸を追い続けるのかどうかもわからない。 物語の結末も、はっきりしないし誰も真相を知らないまま終わってしまいます。 色っぽく成長した女が、男を手玉に取り、愛人関係を結び、水商売で成功し・・・ なんていうストーリーは、正直言って、珍しくもおもしろくもないです。 実際に世の中にもたくさんあるでしょう。 また、さらに愛人殺害までやったとしても、映画や小説の中なら、やっぱり陳腐な展開ですよね。 それでも、この本がとてもおもしろく、一気読みしてしまった理由は、 最初から最後まで、「うわさ」だけで語られたことと、 真相を明らかにしないからだと思います。 読書レビューを見ると、糸井美幸が「憎めない」とか「惹かれる」といった感想が多いですね。 糸井美幸は、色っぽいだけじゃなく 頭も良さそうだし、親切ないい人みたいなので、 そんな感想が多いのもわかります。 また、私はこの本の中に、地方都市の閉塞感がよく表現されているのもおもしろかった。 考えてみれば、「うわさ」だけで語る物語は、大都市では成立しないでしょうね。 私自身、地方の小さい市の「うわさ」飛び交う町に住んでいるので、その感覚がよくわかりました。 【中古】【書籍・コミック 新書・ノベルス】奥田 英朗 噂の女【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.03.20 22:06:05
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