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この頃、年のせいか老眼が進んだせいか、
あるいは読書から少し遠ざかっているせいか、 あまり重くて深刻なものが読めなくなりました。 だからといって、あまり軽いものは読みたくないしおもしろくない。 わがままなわたしの好みを、十分に満足させてくれたのがこの本です。 ネタバレしないように努力はしますが、 してしまいそうな予感もするのでご注意を。 物語は残虐極まりない殺人事件から始まります。 そしてその現場に残された血の文字。 それから、どうもあの事件の犯人らしい、でも確証はない、という人物が 3人あらわれて、交互にその3人が描かれていきます。 その3人には全くつながりがなく、何か隠したい過去を持っているという設定で、 読めば読むほど一人一人が怪しくて、 まさに推理小説を読む楽しさを満喫することができます。 とてもおもしろくて目が離せないので、 上下巻をほんの1日半ほどで読んでしまいました。 ただちょっと不満な点もあって、まず3人の物語が目まぐるしく交代します。 もう少し読み込みたい気がして、 シーンが変わるたびにちょっと不満感を持ちました。 また、全編を通してのテーマは「人を信じる」ということらしいんですが、 最後のほうで触れられるだけで掘り下げ方が足りません。 「人を信じる」ことについて描きたいのなら、 最初の殺人の背景にも意味を持たせた方が効果的だったのではないかと思いました。 そして、わたしが一番不満だったのは、 最初の殺人現場に犯人が残した血の文字です。 そこにはどんな事情や気持ちがあったのか、それが一切語られていません。 この文字は最後の最後にもう一度出てきて、 それが犯人逮捕の大きなきっかけになるのです。 犯人の背後にもっと大きな理由があったような気がして、 それを知りたいと思いました。 文句ばかり言いましたが、この本はそれを差し引いてもとてもとてもおもしろい本です。 映画化されるそうですので、そちらのほうも是非見たいと思います。 3人の怪しい人たち(一人は犯人ですが)それをとりまく人々を、 映画でもう一度見たいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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