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カテゴリ:ショパン
すみれにローズマリーさんのブログにg-moll=ト短調のことと、
g-mollの曲ということで、ショパンのバラード第1番作品23のことなどがあったので、 今日はそこから多少、専門的な内容を書いてみようと思います。 ::::::::::::::::::::: バラード第1番の出だしは、オクターヴのユニゾンで、 ナポリの6という和声で構成されています。 少しわかりやすく説明すると・・・ ユニゾンとは、(ここではピアノ用に便宜的に)高さの違う同じ音を同時に奏でることで、 ナポリの6の和音とは、音階の2番目の音を根音に3和音をつくり、 それを第1転回形にしてから、短調の場合は、最上部の音を半音下げる・・・ つまりト短調の場合は、ソから始まる短音階の2番目の音、ラの上にラ・ド・ミ♭ の和音をつくり、位置をド・ミ♭・ラに移し、そのラを半音下げて、 ド・ミ♭・ラ♭に変えるということになります。 :::::::::::::::::::::: ナポリの6とは、スカルラッティなどのナポリ楽派が好んで使ったということから 名づけられているという説がありますが、これは不明で・・・ ただ、ナポリの6というのは、やはりそう命名されるだけの力をもった響きなのです。 その響きは、ある種の暗さを秘めていて、私たちに潜むマイナス面を暗示する・・・ そんなところがあります。つまりこの響きは、例えて言えば、不吉なものを予感させたり、 死というものをほのめかしたりします。 そしてユニゾンですが、これはショパンの曲に時折出てくるもので、 緊迫した瞬間を表す場合が多いように思われます。 このようにしてバラード第1番を考えると・・・ :::::::::::::::::::::: ナポリの6のユニゾン・オクターヴで始まり、曲の最後には、再びユニゾンの上がる音階、 そして両手オクターヴの下がる音階が出てくるという曲の構成に・・・ 何か特別な意味を感じてもいいのではないかと思います。 ショパンの音楽は、大抵メロディーがあって伴奏があるという形をとっていますが、 曲中には、ふとメロディーだけになったり、そのメロディーはユニゾンだったり、 ということがあります。 例を挙げると、第2番のコンチェルトのソロ冒頭、スケルツォ第2番の出だし、 マズルカ作品24-4の中間に出てくるもの・・・ 英雄ポロネーズの再現部手前等々・・・そしてこのバラード第1番の始まり方です。 :::::::::::::::::::::: どれも張りつめたような緊張感があり、弾き手にとっては集中力が問われ、 聴き手にも特別アピールしてくるものがあるのではないでしょうか。 そして・・・最後の和音以外 全部ユニゾン という第2番ソナタの終楽章・・・ あれは・・・ やはりショパンが、ユニゾンにとても意味を感じていたということなのか? そのことをご本人に伺うことができたらと思いますが・・・ それは無理でも、私たちは、彼の作ってくれた作品からいろいろなことを感じ取り、 自分の思いと重ね合わせてみたり・・・ そうやって時を過ごしていくに従い、何かを体得したりするのでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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