和菓子司「中村軒」／お墓の掃除。

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テーマ：暮らしを楽しむ(388246)

カテゴリ：◇京都◇

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和菓子司「中村軒」

私の好きな…「麦手餅」。。。

＜中村軒＞麦代餅.jpg

メールマガジン登録をしていて… 昨日送ってきたエッセイです。。。

第70回｛千の風になって-お盆- ｝

８月は佛さんが家に帰ってきやはる月です。
お精霊(しょらい)とんぼになってかえってきやはるとか、
槙の葉に乗ってかえってきやはるとか、
ゆわれててこの頃にとんぼを捕ったり虫を殺したらえらい叱られた。

お精霊さんには毎日お供えするもんが決まってて白餅は毎日で
12日13日はお迎えだんごで
14日おはぎ、白むし
15日は白むしにそうめん
16日は送りだんご

16日はおいだしあらめとゆうて、
あらめの黒いゆで汁を門口に撒くと
佛さんはあの世にかえっていかはる。

「おじいちゃんはおそうめんもあらめも嫌いやったのに
好きなもん供えたげへんの？」と母に言うと
「佛さんにならはったら好き嫌いゆわはらへん」と言うけんど、
せっかくかえってきやはったのに、
好きやったもん供えたらええのにと毎年思う。

私は15年も一緒に過ごした犬を亡くしました(ボクという名前です)。
ボクは弱ってきてふらふらしてるのに私の匂いがすると
一生懸命小屋から出てきてすり寄ってくれ、
毎日私の気持ちを明るくしてくれました。

亡くなってから何を見ても思い出につながるので
気持ちが落ち込むばかり・・・
そんな折、俳句のお仲間が大悲閣へ吟行に誘ってくれました。

大悲閣は保津川を開削して舟を通すことに
成功しやはった角倉了以が河川工事に協力した人々の
菩提を弔うために創建されました。

了以は高瀬川の河川開発を行ったり
朱印船貿易をしたりということで有名です。

朱印船貿易では１回の航海成功で何万両も儲けはって、
その息子はんの素庵は「嵯峨本」という
日本の古典の再興をしはった。

大悲閣にある了以の像は石割斧を持って
今も川の安全を見守っています。
ここはまだお若い和尚様がおいでになり、
良いお話を伺うことができました。

お堂には誰でも持帰ることのできる色々なプリントが置かれています。
その中のひとつ「般若心経頌」を読ませていただきました。

「形あるものは　すべてこわれてゆく
　花のように　人のように　楼閣のように
　されど　形なきものは　虚空のように　大空のように
　いつまでも　こわれることを知らない
　形あるすべてを捨てた心　かわり行く全てを離れた心
　それが空の心である
　みどりの大空のように　空のこころは限りもなく　涯もなく
　増えることもなく、減ることもない
　こわれゆくこの世のすべてを　離れるが故に
　生きることにも迷わず　躓くことにも惑わず
　ただすべての畏れを離れる
　若葉にしたたる日の滴が　すべてを包み、すべてを育むよう
　空の心は　何ものをも許し　何ものをも育ててゆく
　これは限りなき光であり　楽しみであり　無我のさやけさである
　ほがらかなる空の心よ　あたたかく滴る空の光よ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（小笠原秀実）」

保津川から山へと吹き渡ってくる風の中を
「ボク」を亡くしてから始めて心落ち着き小浜の和尚さんが
いつもおっしゃっていたことを思い出しました。

「湯呑にお茶がはいっています。
お茶を飲んだらなくなってしまいますね。
あなたは目の前にあったお茶が
なくなってしまった(死んでしまった)と思っているでしょう。
でもお茶はなくなっていません。
喉を通り体に入って全部の細胞にいきわたり生きているのです」

何回も聴いていたのですが「はい」と言うばかりで
心の奥からわかっていませんでした。

般若心経頌を読んで私の心の中にあたたかいものが流れ出し、
少しずつ悲しみが溶け出しています。

そんな折、やはり犬を亡くした友達から
「千の風になって」という本が送られてきました。
それは作者不明の詩で、日本語詩は新井満さんです。

「千の風になって」

　私のお墓の前で　泣かないでください
　そこに私はいません　眠ってなんかいません
　千の風に　千の風になって
　あの大きな空を　吹きわたっています

　秋には光になって　畑にふりそそぐ
　冬はダイヤのように　きらめく雪になる
　朝は鳥になって　あなたを目覚めさせる
　夜は星になって　あなたを見守る

　私のお墓の前で　泣かないでください
　そこに私はいません　死んでなんかいません
　千の風に　千の風になって
　あの大きな空を　吹きわたっています

　千の風に　千の風になって
　あの大きな空を　吹きわたっています

　あの大きな空を　吹きわたっています

この詩は般若心経頌と一緒やないの！
了以さんも亡くなった父も先生も、
お盆にかえってきやはるご先祖さんみんな、
そして「ボク」も千の風に
なってこの保津川に山に中村軒のまわりにも
吹き渡っているのでしょう。

お盆はこんなことも思い出すためにあるのかもしれません。
ありがたい事でございます。

めでたしめでたし

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＜中村軒＞きんつば.jpg