パンダの奥さん日記

今朝は、子パンダを幼稚園に送り出して、そのままパンダ夫婦もソウルに向かった。

先日、日本の友達から、水墨画が送られてきて、表具を頼まれたのだよ。

ソウルにある、パンダ行きつけの表具屋さんに、その作品を持って、お邪魔した。

１号線で、あともうちょっとでウィジョンブというところに、そのお店はある。

だから、ほぼ、１号線の端から端まで乗り尽くしたことになる。

ちょっとした遠足気分で、わたしはご機嫌だった。



ところがだ。



どんくさいパンダ



クマ３匹が　おうちにいるよ

パパクマ、ママクマ、赤ちゃんクマ

パパクマ　でぶっちょさん

ママクマ　ほっそりさん

赤ちゃんクマ　可愛すぎ～・・・


という、韓国でなら、誰でも知ってる歌があるのだけど、

パンダは、ふんふんと鼻歌歌いながら


｢オンマ～コ～ム～　トゥントゥンへ～♪｣
　(マ～マ～ク～マ～　で～ぶっちょ～♪)

と、歌ってしまったのだ。

もちろん奥さんは、激怒して、すっと席を立ち、他人のように別の座席に移動した。


｢ぁあ～ん、おっくさぁ～ん！！！｣


と、パンダがまた隣に座って、謝りもせずに、またわけのわからん話をしはじめた。

あんまりわけがわからんので、つい聞き耳を立てた。


｢あのね、お寺の和尚さんが、

　お坊さんたちに、櫛を売ってくるように言ったの。

　でも、櫛なんて、なかなか売れないだろ？

　で、Ａさんは、５本売ってきたの。

　Ｂさんは、１０本。

　Ｃさんは、なんと１００本。

　和尚さんが、どうやって売れたのか、それぞれに聞いたの。

　奥さん、なんで１００本も売れたと思う？｣


奥さん、しばらく休戦状態で、真剣に考えた。


｢う～ん・・・髪の毛のないお坊さんに、

『この櫛使ったら、毛が生える』って言って売りつけた。｣


｢それ詐欺じゃないか～～～！！！詐欺はダメだよ～。

　Ａさんは、誰も買ってくれないから、

　親戚に泣きついて、やっと５本だけ売れました。

　Ｂさんは、お客さんが来た時に、お土産に渡したらいいでしょう？

　と言って、１０人に売りました。

　Ｃさんは、櫛にお寺の名前を入れて、お寺のお土産としたら、

　１００本も売れました。｣


｢ふぅ～ん・・・何？それ、マーケティングか何かの授業でやったの？｣


｢それがね、ＢとＣはウソでした。｣


｢はぁ？何？何なの？｣


｢だから～、ＢさんとＣさんは、ウソをついてました。｣


｢ねえ、ちょっと一体、何が言いたい話なの？！｣


｢何がって・・・

『ウソをついては、いけません』

　って話・・・｣


｢わかるか～いっ！！！

　あたしゃ、また、何かのクイズかなぞなぞかと思ったよ！！

　はぁ～～～～っ、しょーもな～～～！！！｣


｢クイズだよ、クイズ・・・｣


｢あのね～、なぞなぞとかクイズってのは、こういうのを言うの！

『仲良くするのは　いいけれど

　あなたが乾いて　さっぱりすれば

　わたしが　代わりに　びしょぬれ』

　これ、な～んだ？！｣

　　　　　　　　　　
　　　　　　ぐりぐらの　なぞなぞえほん　より
　　　　　　　　　　　　


｢う～ん・・・う～ん・・・びしょぬれ？・・・

　・・・・

　・・・・

　トンカツぅ？？？｣


ぎゃははははははは～～～～～～！！！


どうしよう、奥さんたら、地下鉄の中で、かつてないくらいバカ笑いしてしまったわ。

トンカツだって、トンカツ！なぜにトンカツ？

それも、韓国語読みだから、トンカスに限りなく近いのよね。

どうしよう、可笑しいよ～～～～～～



｢正解？・・・オレ、頭良すぎる？｣



ぎゃははははははは～～～～～！！！
　　
お願い、お願い、もうやめて～～～

いたたたた、いたたたた・・・


｢ごめん。ごめん。難しすぎた。答えはタオル。

　ごめん、もっと簡単なのにするね。

『火曜日と水曜日に食べる果物は、なぁんだ？』｣


・・・

・・・

・・・


｢・・・タッカルビ？！｣


これまた、わたしゃ、大爆笑～～～　



｢違った？春川ダッカルビ？！｣


ぎゃ～～～～～、本場の名前出しても、不正解ですから～～～～！！！　


｢果物、って言ったじゃないの。答えは、スイカだよ～～～。

　あ～、笑った、笑った～。

　今日の日記に書いていい～？　　｣


はぁ～、面白かった～～～。

他にも、こんな珍回答の連続で、笑い転げてるうちに、降りる駅に着いた。

駅からは歩いて１分もかからないとこに、お店があって、

中では、人の好さそうなご夫婦と、若い息子さんが忙しそうにお仕事されていた。

表具の色や納期の希望を伝えて、用事も無事済み、また外に出て、駅に向かった。

が、歩きながら、わたしは、道路沿いに併設された、でかい変てこな建物が

気になって、気になって仕方がない。


｢ねえ、これ何の建物なの？！｣


｢・・・｣


答えないパンダに、短気な奥さんの声は、怒りを含んだものになる。


｢ねえ！

　これ何の建物かって、聞いてるのっ！！！｣


｢・・・・何って、これ　駅　じゃないの～～～！！！｣


いや～ん。


｢奥さん、自分のことは、日記に書かないつもりでしょう？｣


｢・・・いや、そんなことは・・・｣


｢ちゃんと、今のも、書いといて！！！｣


｢は、はい・・・。｣





ちゃんと、約束は守りましたからね。