夫との電話1
家を出てから、初めて携帯の電源を入れた。すぐに電話をかける勇気が出なくて、携帯を持て余していたら、突然手の中で携帯が震えた。「え?」驚いて見たら、着信ではなく、メールの受信。ぞくぞく届く。夫からの大量のメールと、時々挟まる友達からのメール。先に夫のメールを見た。最初の方は「警察に通報するぞ。」「今すぐ帰って来い。帰ってこないとただじゃすまさない。」「一生許さない。」といった感じで、後の方は、「生きているなら、メール一通でいいから返して欲しい。本当に心配なんだ。」幾分柔らかい文面になっていた。「コンビニ行って来る」一緒に行くという彼を制し、携帯を持ってマンションを出た。しばらく歩いて、携帯をバッグから取り出す。電話帳から夫を呼び出し、かけた。トゥルル トゥルル ・・・ ・・・出ない。めげそうになりながらも、再びかけなおす。トゥルル トゥルル ・・・ ・・・やっぱり出ない。どうしようと思ったその瞬間、携帯が震えた。携帯の画面には夫の名前。今度はメールじゃなく、間違いなく着信。大きく1回息を吐いてから、ボタンを押した。「・・・はい。」--長くなったので、続きます。