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南の島物語

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2017.01.15
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カテゴリ:釣りのエッセイ

まあ、取材や撮影ではいろんなことが起きる。

 

しかし、それを誌面では語れないことも多く、

そりゃ、まともには言えない話もある。

 

 

決してドラマチックではない失敗談ほど、それは最高に面白い話になる。

 

そんな裏話、まず目に触れることはないのだから・・、こりゃ黙っていられない。

 

先日、私のソルトワールド誌連載取材を、久々に八丈島で行った。

 

アングラーは、ネーチャーボーイズテスターとして復帰の親方(竹下恵介)、

それに、私の相棒と言っても良い、船上カメラマンのサントス(大川)だ。

 

1月、ジギングのような沖釣りの冬季取材は、かなりのリスクがある。

 

高い山を2つ有し、離島の割には風裏のある八丈島なので、

西高東低、多少の冬の嵐でもできる事が多いと踏んでの釣りだった。

 

釣りの内容は、誌面で語るので、ここで述べるのは控えたい。

 

ただ、釣行では何かが起こるか判らない、

そんな触れる事の少ない、ドタバタの部分を切り取り、
塞いだ口から漏らすことにする(オイラはおしゃべりだからね~)。

 

2日目、朝からの出船、大しけの中なので、沖のポイントは限られる。

同じポイントの23か所をグルグル回る、そんなジギングだ。

それでも、ポツポツと魚を拾い、冬季のジギングとしては上々。

 

昨日は少々、船酔い気味だった親方とサントス。

 

今日も大波だが、少しは馴れたか?動きはマズマズのようだ。

 

「うぉ~い、親方、気分はどうだ」

 

「パパ~、上々です。魚も釣れたし~」

 

「サントス、少し渋って来たけど、ここらで一緒に遊ぼ~」

ジギングをする事を促す。 

 

サントスは、釣りが上手い。

 

僕の取材では、時々食い渋りで竿を出し、何かの間違いで魚を釣ってしまう。

 

「な~んだ、魚いるじゃないっスか~。フンフン」

 

こんな嫌味なセリフで、他アングラーのヒンシュクを買うのが毎度だ。

僕には、それが楽しい。

 

釣りはタイミングで、誰にヒットするかわからない部分もある。

 

強運なサントスは、そんな時にチョットだけ竿を出して釣ってしまう。

 

何時か青ヶ島の釣行で、食い渋りになって写真撮りも暇になったとき、

ヒトの竿を借りて、25キロ越えのビッグなカンパチを釣り、

「ひっひっひっ、疲れたわ~」、とのたまって大ヒンシュクだった。

 

他にも多くの取材で、アングラーを尻目に、そんなフザケタ真似をする。
 

ロッドを持つと、我を忘れてムキになる。

それは、釣り好きの誰もが持つ本性だが、

息子ぐらい離れた年齢だけに、
そんなガキっぽい性分が僕には好ましい。

 

そして今回も、親方からの借り物のロッド振り、

120メートルの水深、着底もままならない状況で、それが起こった。

 

私が、気が付いた時には、既にロッドは海面に突き刺さり、本人は必死の形相。

 

まあ、もともと釣りのキャリアもあり、手慣れたやり取り。

 

それでも、ギャ~ギャ~言いながら浮き上がってきたのは巨大なヒラマサだ。

 

「お~お、タモに入らないね~」

 

潤航丸船長の純ちゃんは、慣れた手つきでギャフに替えて手にする。

 

22キロぐらいあるぞ~」

ガシっとギャフを入れ、一気に引き上げた・・・。

 

ところが、ところが、上手の手から水が漏れた。

 

上まで持ち上げたつもりの魚が長すぎた。

 

その長い尾鰭が、船べりを叩き、巨大ヒラマサは海側にドボン。

 

ありゃありゃありゃ、みなの溜め息をよそにラインをちぎって海中へ沈んでいく。

 

 

あ~あ、涙、涙、涙。 奴には、これまでで最大魚のヒラマサか~~。

 

サントスは「ク~~、う、う、う」暫くは放心状態。

 

でも、こんな事があっても、船代を決してオマケする事の無い潤航丸船長(笑)。

 

 

まあ、誌面には書けない、こんな裏話でした。

 

 

でも、僕には相当に愉快な釣行だ。

 

読者みなさん、こんな裏話があった事を心の隅に置いて、

ソルトワールド3月号、僕の連載を楽しみにして欲しい。






 

 

 






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最終更新日  2017.01.16 08:00:50
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