カテゴリ:釣りのエッセイ
まあ、取材や撮影ではいろんなことが起きる。
しかし、それを誌面では語れないことも多く、 そりゃ、まともには言えない話もある。
決してドラマチックではない失敗談ほど、それは最高に面白い話になる。
そんな裏話、まず目に触れることはないのだから・・、こりゃ黙っていられない。
先日、私のソルトワールド誌連載取材を、久々に八丈島で行った。
アングラーは、ネーチャーボーイズテスターとして復帰の親方(竹下恵介)、 それに、私の相棒と言っても良い、船上カメラマンのサントス(大川)だ。
1月、ジギングのような沖釣りの冬季取材は、かなりのリスクがある。
高い山を2つ有し、離島の割には風裏のある八丈島なので、 西高東低、多少の冬の嵐でもできる事が多いと踏んでの釣りだった。
釣りの内容は、誌面で語るので、ここで述べるのは控えたい。
ただ、釣行では何かが起こるか判らない、 そんな触れる事の少ない、ドタバタの部分を切り取り、
2日目、朝からの出船、大しけの中なので、沖のポイントは限られる。 同じポイントの2~3か所をグルグル回る、そんなジギングだ。 それでも、ポツポツと魚を拾い、冬季のジギングとしては上々。
昨日は少々、船酔い気味だった親方とサントス。
今日も大波だが、少しは馴れたか?動きはマズマズのようだ。
「うぉ~い、親方、気分はどうだ」
「パパ~、上々です。魚も釣れたし~」
「サントス、少し渋って来たけど、ここらで一緒に遊ぼ~」
サントスは、釣りが上手い。
僕の取材では、時々食い渋りで竿を出し、何かの間違いで魚を釣ってしまう。
「な~んだ、魚いるじゃないっスか~。フンフン」
こんな嫌味なセリフで、他アングラーのヒンシュクを買うのが毎度だ。 僕には、それが楽しい。
釣りはタイミングで、誰にヒットするかわからない部分もある。
強運なサントスは、そんな時にチョットだけ竿を出して釣ってしまう。
何時か青ヶ島の釣行で、食い渋りになって写真撮りも暇になったとき、 ヒトの竿を借りて、25キロ越えのビッグなカンパチを釣り、 「ひっひっひっ、疲れたわ~」、とのたまって大ヒンシュクだった。
他にも多くの取材で、アングラーを尻目に、そんなフザケタ真似をする。 ロッドを持つと、我を忘れてムキになる。 息子ぐらい離れた年齢だけに、
そして今回も、親方からの借り物のロッド振り、 120メートルの水深、着底もままならない状況で、それが起こった。
私が、気が付いた時には、既にロッドは海面に突き刺さり、本人は必死の形相。
まあ、もともと釣りのキャリアもあり、手慣れたやり取り。
それでも、ギャ~ギャ~言いながら浮き上がってきたのは巨大なヒラマサだ。
「お~お、タモに入らないね~」
潤航丸船長の純ちゃんは、慣れた手つきでギャフに替えて手にする。
「22キロぐらいあるぞ~」 ガシっとギャフを入れ、一気に引き上げた・・・。
ところが、ところが、上手の手から水が漏れた。
上まで持ち上げたつもりの魚が長すぎた。
その長い尾鰭が、船べりを叩き、巨大ヒラマサは海側にドボン。
ありゃありゃありゃ、みなの溜め息をよそにラインをちぎって海中へ沈んでいく。
あ~あ、涙、涙、涙。 奴には、これまでで最大魚のヒラマサか~~。
サントスは「ク~~、う、う、う」暫くは放心状態。
でも、こんな事があっても、船代を決してオマケする事の無い潤航丸船長(笑)。
まあ、誌面には書けない、こんな裏話でした。
でも、僕には相当に愉快な釣行だ。
読者みなさん、こんな裏話があった事を心の隅に置いて、 ソルトワールド3月号、僕の連載を楽しみにして欲しい。
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