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地元の週間情報誌からみつけたアルバイト。
あれから2週間が過ぎた。 土日の朝1時に家を出て行く生活はなんともあやしい。 何よりも普段は12時過ぎに寝る生活なのに、その時間に起きるような生活なのだ。 つまり金曜日の夕方は静かに過ごさなければいけない。 なんちゃってテニスになど行けやしない。 9時には子ども達と就寝だ。 3時間、ガーッと寝て夜中に起き近所の寿司工場に向かう。 ほんの5時間のアルバイトだが、まだまだ慣れず緊張気味。 平日はそれほど忙しくないようだが土日の朝はスーパーの出荷が多いようだ。 そこでアルバイトの募集をだしたらしい。 しかし謎が多い。 この工場・・・・ 若い男の子が3人くらいいる。工場長は年中無休で働いている。 あと4人のおばちゃんたち。 そして週末になると工場長の奥さんがお手伝いに来ている。 工場長の奥さんは普段はどこかの会社に勤務しているのだが、お手伝いというか・・・ 多少の収入にもなっているであろう。 さほど人数もいないのに、まあ個性のすごい人が集まっている。 話しなどしている暇などないが、私はつねにUさんというおばさんと一緒。 「誰でも出来るから大丈夫~。」 工場長が最初に言っていたように、私はUさんと組んで動いている機械にいなりを置くだけ・・・ そこに機械でご飯が詰められ、Uさんは数を数えながら並べていく。 イメージ的にベルトコンベアーなどで流れていく姿を想像していたけど、けっこう人の手が主なのだと最初は驚いた。 小さな会社だからな・・・ だけどおもしろいのは・・・ 2週間たっても私の住所をたずねられることもなければ、電話番号も聞かれないということ。 ここで私がプツッと来なくなっても何も言われることはない。 そんなことをすればバイト代を支払われないのだから私の損だが・・・ いなり担当になっていて時々だが相方のUさんが他の人の情報を私に流す。 ひとりのおばさんはやたら仕切りたがる。Tさんとしよう。 この人は2時くらいにやってくる。 それまで静かだった仕事場がいっきに 遠く離れている私の行動ももちろんチェック。 「あ~!!おねえちゃん、そこはそうしちゃだめよ!」 「そこに何してはだめよ!」 「そんなに汁をしぼっちゃダメダメ~!」 「そんなに走ることはないわよっ!」 まあ、そんな感じ。 Uさんは隣でブツブツ言う・・・・ 「うるさいわねっ!」と・・・・ どうも私がいなかった時にはTさんと2人でいなりを担当していて相当やられたみたいだ。 Uさんは入社して3カ月。 週に一回のお休みがあるようだが、えらいのだ。 車で20分かけてやってきて、土日は1時出勤。 普段はもう少しゆっくりらしいが・・・ 3カ月であんなに何でもできるようになるのかぁ~というくらい、いろんな仕事をしている。 私はいなりがいいや~って思っている。 あれこれいろんな事をやってみたいなどとは思わない。 混乱するし・・・ 5時間のうちに1,2時間は他の雑用をまかされる。 こんな素人だから教える方も手をとられかえって邪魔をしているようで申し訳ない感じ。 そこで、またTさんが事細かに教えたがる。 「はい、これはここにおく。 はい、仕事は段取りが命よ~。 ここに置いてこうやってやれば手際よくできるでしょ~。 ま、自分のやりやすいようなやり方でいいんだけど~。」 はいはい・・・ 逆らう気も別にないけど、ここにいるときの自分は子ども状態だ。 「おねえ~ちゃんっ!」 そのたびに工場長がしつこいくらいに言う。 「hossyさんだよ!」 かれこれ10回くらい・・・ 名前を覚えろということなのか?!別にいいさ~。 工場長だって私の連絡先もしらないくらいだからな・・・ きっといつまで続くか・・・そんなくらいであろう。 Tさんが工場内で響き渡るくらい大きい声で話すがそれはいつものこと。 私の隣でUさんはいつも苦笑している。 「あの人は、ああだからね~。」 そしてUさん、前回に私がTさんに注意されたことで私に言った。 「ごめんね~。この前は気分、悪かったでしょ?」 私は、ああ~。そうかい・・・くらいにしか思っていなかったのでUさんが私にあやまることが不思議。 たしかにUさんに言われてやったことではあったけど、下っ端の私が言われるのだから別に何も思わない。 Uさんは私がきたとこでTさんと組まなくてよくなって嬉しいらしい。 「とにかくひとつひとつ、うるさかったのよ・・・」 小声でぽつり。 3カ月、毎日鍛えられたせいでUさんは何でも出来るようになったのだね?! そしてUさんはこっそり私にまた言う。 あの人は○○会に入信していると・・・ ほう~。そうか・・・ まあ、宗教の自由だからね・・・ 「あっちのお兄ちゃんはキリスト教なんだって・・・」 ほうほう・・・ そのお兄ちゃんの名前さえ知らない私。 ただ、無言のやさしさがある。 単なるアルバイトの私に気をつかってくれている。 私のしごとをやりやすいようにという心遣いが感じられる。 私がいなりを箱から出すときに包丁をもってそこまで行っていたのだが別包丁をソバに用意してくれて、いつの間にか箱の上においてある。 私の必要ないなりの重い箱を自分の作業中には邪魔になるのに置いてくれていた。 それも重ねて置いてくれていた。 ちょっと感動した。 世の中にはそんな人もいるのだ・・・ 「あれ、しといたわよ!」ってTさんなら言うわね。 しかし若いお兄ちゃん、感心だわ。 私に同情してくれているのか・・・?! きっと常にそういう精神なのだろう・・・ 工場長が年中無休でやっているというのも驚く。 社長はチラッと顔をみただけだが・・・ 工場長とは友達同士ってはなし。 2人ともまだ40歳過ぎだとか・・・ 若っ! 「おねえちゃん~。こどもいくつ~?」とTさん。 「小2と小4です。」 「あらっ、まだ若いのねぇ!」 そんな風に見えなかったかい?! つねに白衣に深く帽子かぶってるし・・・ きっとテニス仲間は誰ひとりわからないだろう。 スッピンだしな ここでは大人しい私~。 余裕もないし・・ このペースならなんとかいけそうか? ただし、Tさんとずっとペアとなったとしたらちょっと自信はないなぁ。 そういう人は必ずいるのも分かっている。 人間、いろいろだな~。 週末の朝早い仕事ですっかり土日の生活はかわってしまった。 日中の行事があってでかけられるがパワー全開とはいかない。 昨日もなんちゃってテニスのバーベキューだった。 こどもを連れていったのでお酒ものまず、ひたすら焼き方にまわる。 しらふなので盛り上がりにもかける。 こどもの前なので馬鹿もできず・・・ 単なる働き者の奥さんになっていた。 朝からずっと働きっぱなし・・・ たまにはいいか~。 さすがに町内の夜回りは夫に頼んだ。こどもも一緒についていった。良い傾向~。 悪いね、夫。 ヘルニアなのに・・・・ ちょっと良い運動になったであろう。 わからんが・・・ 充実した日曜だった。 これで月曜からは廃人かもしれない。 これってどうなんだろう・・・これでいいのか?! いいわけがないっ。 だよね、夫。 悪かったね。お留守番させて。 でもほらっ、ヘルニアだもんねぇ。 飲み過ぎ食べ過ぎは良くないものねぇ・・・ やはり私は悪妻・・・・?! 「何を今さら・・・」 夫の声が聞こえたような気がした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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