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テーマ:癌(3518)
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明日で母が入院して一週間が経つ。
我が家とは違って静かな病室は母にとって心地よかった。 それも数日間のことだった・・・ 身体がとてつもなくだるい。 そして胆嚢が痛み出してきた。 家では喉が渇くので水をよく摂っていた。 そのせいか母のお腹はレントゲン写真では水で真っ白にうつっていた。 もう横隔膜を圧迫しているので相当つらいらしい。 点滴で水をぬこうとしたが思ったよりも水がぬけず、毎日看護師さんをつかまえ 死にたいと訴えていたそうだ。 ドクターから連絡があったのは、そんな話しだった。 「どうしましょうか・・・?もうモルヒネをうちますか? ご本人さんは相当辛いんだと思います。」 家にいれば水も飲めた。 病院では水分制限はされるし、母が思うほど楽にはなれないことで苛立ちを感じている。 家ではできないことを病院に望む為の入院だった。 だるさや痛みから解放してあげてほしい。 悩むことなく私は「お願いします。」とひとこと言った。 自分だったら・・・ そうして欲しいから。 また親戚からはクレームがでるだろう。 でも母が望んでいるのはもうモノではない。 お金でもない。 ただ楽になりたいと願っている。 「モルヒネをうつと意識が朦朧とすることが多くなります。」 それでもいい。 その時はそう思った。 その日の朝、父をたまたま父を病院に連れていった。 ディサービスの日で、その前に母に会わせたいと思った。 ふぬけていた父が寝ている母の足下をバンバンたたいた。 「ばあ、ばあ!!」 いつも父はそう言って母を呼んでいた。 今まで私や姉のことを忘れていたのに・・・ 母はわかるんだね?! 母はだるい顔をして車いすの父とみつめあった。 父は何やら話しかけているが聞き取れない。 ぐったりしている母が言った。 「ちゃんと、ご飯食べて元気だしてや・・・」 すでに父の食欲がおちていることを母に言っていた。 父はうんうんと頷いて満足したのか 「行くわ。ばいばい。」 手を振った。 ほんの一瞬の出来事だった。 その日のうちに夕方に病院にきてドクターと話しをしてほしいと連絡があったのだ。 会わせておいて良かった・・・ 夜中に父のねている側でひとりでふとんを敷いて寝ている私。 明日から母はもう眠って目を覚ましていることがないかもしれない。 もう会話が出来ないかもしれない。 私は・・・ 母とちゃんと向き合って会話してないのに・・・ そう思ったら泣けてきた。 声をあげて、こどものようにワンワン泣いてしまった。 本当に子どもの頃に母がいなくて不安で泣いていたあの頃を思い出した。 私の声に目を覚ました父が言った。 「どうした?!夢をみたのか?なんで泣くんだ?なくなよ。」 しっかりした父だった。 身体の不自由な父が私に泣くなと言っている。 子どもになってしまった私をなぐさめてくれていた。 何もしてあげていない・・・私は母に・・・ その後悔が私を襲った。 そして次の日、父は立ち上がれなくなった。 トイレに行こうとするのだが、途中で座り込む。 父にも限界がきたのか・・・ 今もベッドでトイレに行こうと必死で起き上がろうとする父。 夜中に何度もくり返す。 でも自分の力では起き上がれない。 「もういいよ!がんばらないで!」 オムツの交換くらい何でもない!私がする! 父にもプライドがある。 生きている以上は自力でトイレをすると言っていた。 父も白血球の値が多くなっている。 身体の中で何かが始まっているとしか思えない。 こんな父を置き去りにして母のところに向かうわけにもいかない。 なぜ二人は同じ時期だったのか・・・・ 何のメッセージなのか・・・ 私が思う以上に二人の結びつきが強かったとしか思えない。 がんばろうとする父。 もう終わりたい母。 ゴールをいっしょにしようと調整中なのかとも思ってしまう。 気持ちだけはまだ父は元気なのだ。 1日1日が勝負だ。 母にも父にも満足した生活はさせてあげられなかった。 後悔が残らないようにと思って呼び寄せたが、なかなか思うようにいかないものだ。 病人相手にキレていたもんなぁ・・・ 母は今、眠っている姿が子どものようにみえる。 この姿をみると後悔することが多い。 病院に行くとそう思わずにいられないので、つらくなる。 むしろ今は父の下の世話を出来ている分、ホッとすることもある。 父はとても嫌だろうけど。 いつか私の気持ちが晴れることがあるんだろうか・・・ 後悔しないってことはないだろうな・・・ いや、そんなことより今しかできないことを精一杯するしかないな。 最近、内容がいつも同じだ。 いかんな・・・ こんな時こそ、明るいお母さんにならなくちゃ。 ちょっと切り替えが必要だわ・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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