元気のない父
母が診察を受けてそのまま入院となったとき、どうしようと思ったのは・・・父への報告。いつも隣りに寝ている人がいなくなれば認知症の父とはいえ嫌でも分かる。ディーサービスから帰ってきた父。「おかえりぃ~ あのね・・・婆ちゃんなんだけど・・・・ ちょっと入院することになったんだよ。」驚いている父。「どうして・・・?」「ほら・・・ずっと、熱出てたじゃない?だから・・・」「ほう・・・」母がいなくなると元気がなくなるのだ。また寂しそうな父をみるのがつらい。昨日、父は食事をあまりとれなかった。いつも残すことはない。半分も食べていない。ちょっとおかしいなぁ・・・父の食欲をみては母はいつもげんなりしていた。自分は食べられないのに、なんでこんなに動かない人が食べられるのかと・・・「考えられないよっ!」吐き捨ているように言っていた母。私にはあなたのデリカシーのない発言が考えられない。父は必死で食べていたのだと思う。食べないと動けなくなると思って、口に合わなくても文句ひとつ言わず・・・「いただきます・・」「ごちそうさま・・」娘の私に会釈をして必ず・・・そんな父が可愛くてたまらない。私がそう思う気持ちが母にはおもしろくないのであろう。父が来て1ヶ月と3週間。父のトイレの度に後をついていく。夜中、多いときは5,6回。それが苦痛かと言えば、そうでもない。自然と目が開くのである。たしかに私自身も熟睡はできていない。その分、昼間に寝ていることもあった。父と母も寝ているし・・・介護とまではいっていないような気がする。トイレに行ってたもんな、ふたりとも。だが、母が入院をしてからのこの数日。父の中で何かがかわった。父も無理してがんばっていたのだ。隣で、「あれして、これして・・・」そう言っている母に「子どもの家に来て、十分な事を言うな・・・」そう言っていたこともあった。いつも遠慮していたのだ、父は・・・「爺ちゃん、何が食べたい?わがまま言っていいんだよ!」「わがまま・・・なんて・・・言う資格がない。」そんなことを言う。どこまでもこの人は・・・・「ごめんねぇ・・・ 子ども達もうるさいし、ほんとはうちに帰りたいよね・・・?!」「子どもの声は・・・ うるさくなんてない。こどもは大事だ・・・」そう言ってくれることが嬉しい。父は実家に帰りたかった。毎日のように言っていたこともあった。「もう随分長いこと世話になった・・・そろそろ帰ろうと思う。」来て3日目くらいから・・・(≧∇≦)それが母が具合がかんばしくなくなって母が「帰って草むしりする!」なんて言うと父はだまるようになった。どこまで空気を読んでいるのかと思う。対照的すぎるふたり。「婆は病院に長くいないと思う・・・」「えっ?!なんで?」一瞬ぎょっとした。「事故にあったわけでもないから、すぐに帰るだろう。」ああ~、そういうことか・・・びっくりした。でも、この言葉の意味・・・・父って鋭い人だからなぁ・・・潜在意識が言わせてるんじゃないのか・・・そして父も何となく準備を始めているのではないだろうか。「寂しい?」きくと「うん。」そう答える父が可愛い。「あんなに恐い顔して怒る婆ちゃんのどこがいいの?」「・・・コンビだから。」(≧∇≦)ぶぁっはっはっ!!夫婦ではなくコンビなのか・・・涙が出そうになる。ふたりとも・・・苦しまないでね。あんまり、がんばらないでね・・・そう思いながら弱っていく二人を見ていくのがつらい。これを越えないと楽にはならないのだから・・・その時・・・・もうすぐそこまできているのかもしれない。